タイトル | 堆肥中硝酸態窒素が乾物中0.3%以上になると有機物分解を抑制する |
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担当機関 | 石川畜総セ |
研究期間 | 2003~2008 |
研究担当者 |
高橋正宏 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 堆肥の腐熟過程で硝酸態窒素が乾物中0.3%以上になると有機物分解を抑制し、腐熟が進行しにくくなる。 |
キーワード | |
背景・ねらい | 石川県内の家畜糞堆肥の品質を調べると、アンモニア態窒素の多いもの、硝酸態窒素の多いもの、無機態窒素をほとんど含まないものなど各様である。家畜糞堆肥の腐熟度判定の指標としてC/N比や硝酸態窒素の検出が示されているが、窒素の形態やC/N比の違いが腐熟の進行に対する影響については十分に解明されていない。 そこで、高温発酵を終えて腐熟過程にある堆肥に対して窒素源として尿素を添加し、その後の腐熟に対する影響を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 腐熟過程にあるチップ主体の鶏糞混合堆肥(全窒素1.94%/DM)に窒素源として尿素を堆肥乾物当たり1.93%(窒素0.90%)添加すると、分解してアンモニア態窒素となり(図1)、pHは9近くに上昇する。 2. 気温の高い季節になるとアンモニア態窒素はほとんどが硝酸・亜硝酸態窒素(NOx-N)となる(図1,2)。NOx-NによってpHは5.6まで逆に低下する。亜硝酸は9ヵ月後(02年 9月)にのみ乾物中0.05%検出される。 3. NOx-Nが乾物中0.3%以上になると有機物分解を抑制し始めて、その後の有機物分解が無添加区と比べて少ししか進まない(図3)。 4. NOx-Nの蓄積で有機物分解率が抑制されるとC/N比の変化は小さく、C/N比が徐々に低下する無添加と差は小さくなる(図4)。 5. 図に示した鶏糞チップ堆肥の他に同様の試験を実施した牛糞モミガラ堆肥では、0.4%のNOx-Nが蓄積して有機物分解率は低くなるが、豚糞モミガラチップ堆肥では0.25%のNOx-Nが蓄積しても有機物分解率に有意差はない。牛糞モミガラ混合物に硝酸態窒素として0%,0.3%,0.6%,0.9%の硝酸カリウムを添加して堆肥化すると添加率が高いほど堆肥発酵が抑制された。 |
成果の活用面・留意点 | 1. NOx-Nが乾物中0.3%以上の堆肥は堆積期間を長くおいても腐熟が進行しにくい。 2. 石川県内で生産された家畜糞堆肥の品質調査結果では、NOx-Nが乾物中0.3%を超える堆肥は牛糞堆肥を主として全体の約5%存在し、最高で0.5%含まれる事例も見受けられる。 3. 堆肥中硝酸態窒素含有率は市販のパックテストで簡易に測定できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | シカ 鶏 豚 |