タイトル | ヤマブドウの一文字2段整枝による垣根仕立て栽培と最適な雄株混植率 |
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担当機関 | 岐阜中山間農技研 |
研究期間 | 1992~2003 |
研究担当者 |
宮本善秋 若原浩司 神尾真司 川部満紀 浅野雄二 滝孝文 梅丸宗男 |
発行年度 | 2004 |
要約 | ヤマブドウ(選抜系統)の垣根仕立て栽培では、主枝を支線に沿って上下2段に主幹から左右へ配置し短梢せん定を行う一文字2段整枝が収量性に優れ、樹間4m、列間2.5mの栽植距離で雄株を15~20%混植すると10a当たり500kg以上の収量が安定して得られる。 |
キーワード | ヤマブドウ、垣根仕立て、一文字2段整枝、収量、雄株混植率 |
背景・ねらい | 岐阜県飛騨地域の山中に多く自生するヤマブドウは、ワインやジュース等への加工で特産品化が期待される品目で、高標高地域を中心に栽培化が進められている。これらの地域では積雪量が多く、棚仕立てでは雪害の危険が高いため、垣根仕立てで栽培されている。しかし、垣根仕立てでの整枝法は確立されておらず、収量が不安定となっている。また、低収の要因として雄株の混植率が低いことが考えられる。 そこで、安定生産のための整枝法、栽植密度ならびに雄株の最適な混植率について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 一文字2段整枝は、地上から1.0mと1.8mの高さに2本支線を張った垣根に、主枝を主幹から左右へ2段配置し短梢せん定を行う。本整枝は、主枝を1段に配置する一文字整枝に比べ収量が多く、栽植本数が133本/10a(うち雌株106本)の場合、10a当たり500kg程度の収量が安定して得られる(図1、表1)。 2. 一文字2段整枝では、樹間を4m、列間を2.5m(10a当たり100本、うち雌株80本)とすることで、間伐の必要がなく10a当たり500~800kgの高い収量が得られる(表2)。 3. 50%以上の結実率を確保し安定した収量を得るためには、雌株と雄株の距離を8m以内とする必要がある。これをもとに計算すると、樹間4m、列間2.5mの栽植間隔の場合の雄株の混植率は15%程度となる(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本技術は当研究所で選抜したヤマブドウ系統を、標高500m以上の高標高地で栽培する場合に適用できる。このため、導入する系統、栽培地域により収量、品質が異なる場合がある。 2. 積雪深が1mを超える地域では、雪害防止のため棚線を高くしたり、定植時に斜めにして植え付け、積雪前に支線より主枝をはずし地上に置く等の対策が必要である。 3. 一文字2段整枝では、長い新梢は6m以上にも伸長するため、夏季に新梢管理を行う必要がある。上段主枝の先端及び結果母枝から発生した新梢(結果枝含む)は、誘引せずそのまま下垂させ地上に着く程度の位置(15葉程度)で摘心し、下段主枝先端及び結果母枝より発生した新梢は上段の陰となりやや弱いため、上段支線等を利用して誘引するとよい。 4. 肥沃な土壌では、新梢伸長が旺盛で過繁茂となり、着花、着粒が不安定となることがあるので、施肥を控え、樹間距離を広げるなどの対策を行う。 5. ヤマブドウの授粉は主に風媒のため雄株の栽植に際しては、風上から順に植栽する。 6. 雄株の剪定は、長梢剪定として花数を確保し、開花終了後に結果母枝を間引き剪定する。 7. ヤマブドウは、発芽期が早い(岐阜県飛騨地方で4月下旬)ため霜害に注意する。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 加工 栽培技術 施肥 ぶどう ワイン |