タイトル | 壁面緑化による環境改善効果 |
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担当機関 | 東京都農業試験場 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
佐藤澄仁 渋谷圭助 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 壁面緑化は壁面の温熱環境を改善する効果が認められることから、ヒートアイランド現象対策として効果があると考えられる。さらに、被覆のない壁面が昼間蓄熱し、夜間に放出している。また環境緩和効果程度は、工法の違いや緑被の程度に影響する。 |
キーワード | 壁面緑化、ヒートアイランド、環境緩和 |
背景・ねらい | 緑化はヒートアイランド現象の対策に有効とされている。屋上緑化については様々な方面からの研究事例があるが、壁面緑化についての研究事例は少なく、新しい壁面緑化技術に対しての効果検証はほとんどなされていない。そのため、壁面緑化の熱環境改善効果をコンクリート剥き出しの壁面、下垂型壁面緑化、パネル型壁面緑化の3モデルで熱環境を解析し、壁面緑化技術の発展・普及に資する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 壁面表面温度は、緑化をしていないコンクリート面(無緑化区)は高温で推移し、気温より常に温度が高い。植栽基盤を用いて緑化した壁面(緑化区(2))は一日の変化が少なく、ほとんどの時間帯で気温より低く推移する。植物が下垂することにより緑化された壁面(緑化区(1))は無緑化区と緑化区(2)の中間的な推移を示す(図2)。 2. 貫熱流はマイナスで壁面への、プラスで外側への熱の移動を示す。無緑化区の貫熱流は日中に大きくマイナスになり、日没後急激にプラスに転じる。緑化区(1)は日没後、無緑化区と比べて緩やかに推移する。緑化区(2)には大きな変化は見られない(図3)。 3. 緑化区(2)の蒸発潜熱の推移を図4に示す。午前中緩やかに増加し、12時と15時にピークが見られ、5時以降急速に減少する。 4. 壁面緑化には、壁面温度の上昇を防ぐこと、躯体への熱の流入を防ぐこと、蒸発潜熱が発生することなどから、壁面の温度環境を改善する効果が認められる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 下垂型壁面緑化は設置および維持管理が比較的簡易であることから、従来から用いられてきた壁面緑化工法である。パネル型壁面緑化は設置および維持管理が簡易ではないものの、設置と同時に100%の緑化が可能で、近年いくつかの商品が緑化メーカーから提案されている。(図1)。 2. 本試験は東京都板橋区の東京都関連施設の西側壁面にて2003年7月~9月に実施した。 3. ヒートアイランド対策技術として活用できる。 4. 潜熱は蒸散速度に大きく影響されるため、樹種により大きな差が生じると推察される。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
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