タイトル | トマト遺伝子の大量発現解析を可能とするDNAアレイ |
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担当機関 | 千葉農総研 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
Moez Torki(筑波大) 丸諭 桑田主税 今西俊介(野茶研)西村繁夫(筑波大) 山本直樹(かずさDNA研) 柴田大輔(かずさDNA研) 青木孝一 前田ふみ 津金胤昭 渡邊学 |
発行年度 | 2004 |
要約 | トマトの果実と葉で発現する10,914個の遺伝子を配置したDNAアレイを作製した。これにより、トマト遺伝子の網羅的な発現解析が可能である。 |
キーワード | DNAアレイ、遺伝子発現解析、トマト |
背景・ねらい | DNAアレイ技術は、数千の遺伝子発現を同時に測定できる研究ツールである。DNAアレイを用いて遺伝子発現解析を行うことにより、さまざまな条件下での生理的変化や品種、系統間の生理的特性を知ることができる。このため、DNAアレイ技術の開発には、植物生理学や植物病理学など、多くの方面から期待が寄せられている。 これまでに、イネ、シロイヌナズナといったモデル植物のDNAアレイが開発され、広く利用されているが、国内で利用可能なトマトのDNAアレイは未開発である。そこで、トマトの大量遺伝子発現解析が可能となるDNAアレイを作製する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 作製したDNAアレイは、トマト(品種:Micro-Tom)果実と葉で発現する遺伝子に由来するcDNAクローンの挿入配列をPCR法により増幅し、ナイロンメンブレン上に固定したマクロアレイである(図1)。アレイ上には、10,914個の遺伝子のDNAが配置され、それらの塩基配列情報は、トマトESTデータベースMiBASE<http://www.kazusa.or.jp/jsol/microtom/indexj.html>で公開されている。本DNAアレイでは、放射性同位元素でターゲットとなるRNAを標識し、プローブ上のシグナルから遺伝子発現量を測定する。 2. トマト果実のRNAを用いた実験では、DNAアレイ上に配置した大部分の遺伝子の発現が検出できる(図2)。 3. DNAアレイを用いた遺伝子発現解析の1例として、成熟段階別‘Micro-Tom’の果実を供試したところ、果実成熟とともに発現量が増大するPhytoene synthase等の既知の遺伝子の発現変動が測定できることを確認した(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. トマトDNAアレイを用いて、トマト遺伝子の網羅的発現解析が可能になる。 2. 解析により得られる遺伝子発現情報は、植物生理の解明や育種の効率化に利用できる。 3. 信頼性の高い結果を得るために、糖やタンパク質のような不純物の少ない、高純度のRNAを使用する。 4. DNAアレイの分譲については、千葉県農業総合研究センターが照会窓口である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 育種 植物生理 データベース トマト 品種 |