タイトル | 早生で安定多収・高品質な陸稲「関東糯197号」の奨励品種採用 |
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担当機関 | 茨城県農総セ農研 |
研究担当者 |
小山田一郎 鈴木正明 泉澤直 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 陸稲「関東糯197号」は「キヨハタモチ」より成熟期が早く強稈・多収で、耐干性が強く栽培特性が優れる。また、千粒重が「キヨハタモチ」より重く大粒で外観品質・餅品質も優れるため、奨励品種に採用する。 |
キーワード | 関東糯197号、奨励品種、早生、千粒重、耐干性、餅食味 |
背景・ねらい | 本県の陸稲品種「キヨハタモチ」は、収穫作業が水稲「コシヒカリ」と競合しているため作付面積比率は約10%と低い。陸稲の安定生産のためには「コシヒカリ」との収穫作業の競合を避けられる早生であるとともに、耐干性があり、餅品質については「ゆめのはたもち」と同等以上の品質を持つことが望ましい。そこで、早生・安定多収で千粒重が重く、耐干性、餅品質も優れる「関東糯197号」を奨励品種として採用する。 |
成果の内容・特徴 | 「関東糯197号」は茨城県農業総合センター生物工学研究所で「関東糯166号」を母とし、「関東糯166号」と「関東糯168号(ゆめのはたもち)」のF1を父として育成された品種で、「キヨハタモチ」に比べて以下の特徴がある。 1) 出穂期は3~4日早い「早生」であり、成熟期は3~5日早い(表1)。 2) 成熟期のふ先色は「キヨハタモチ」と同じ「褐」であり、「トヨハタモチ」(紫)、「ゆめのはたもち」(黄白)と識別性がある。 3) 短・強稈であり、玄米重は10~28%安定して多収である(表1、2)。 4) 穂数がやや少なく、生育量は同等以下である(表1、2)。 5) 千粒重は1.9~2.5g重く大粒であり、玄米品質は同等以上である(表1、2)。 6) 耐干性は同等の「強」であり、穂発芽性は同等の「難」である(育成地調査、表3)。 7) 餅食味は滑らかさ、歯ごたえ、粘りが優れる。このため総合評価は優れる(表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1) 関東糯197号は「キヨハタモチ」に替えて、県内全域を対象地域として普及する。普及面積は当面「キヨハタモチ」の現在の栽培面積である400haを目標とする。 2) 早生・短強稈で耐肥性があるため、秋作露地野菜前作の輪作作物としての活用が可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 品種 陸稲 良食味 輪作 |