タイトル | 早生で耐冷性に強く良食味の水稲新品種「なすひかり」 |
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担当機関 | 栃木農試 |
研究期間 | 1996~2003 |
研究担当者 |
伊藤浩 伊澤由行 五月女恭子 五月女敏範 山口正篤 出口美里 小島隆 小林俊一 倉井耕一 大久保堯司 大谷和彦 池田二朗 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 水稲「なすひかり」は、早生の早に属する粳種である。耐冷性が強く、「ひとめぼれ」より耐倒伏性が優れ、千粒重はやや重くやや大粒で安定した収量が得られる。米飯は「ひとめぼれ」より味・外観・総合評価で並からやや優る良食味である。栃木県の中北部向け奨励(認定)品種として採用する。 |
キーワード | 水稲、なすひかり、良食味、耐冷性、 |
背景・ねらい | 栃木県の中北部稲作地帯は、良食味品種である「コシヒカリ」と「ひとめぼれ」が作付けされていたが、「ひとめぼれ」は「コシヒカリ」との価格差が大きくなったこと等から急激に減少した。一方「コシヒカリ」は極良食味で市場評価が高いため、80%を超える作付割合になっており、気象災害を受けた場合の危険分散を図る必要がある。また、「コシヒカリ」だけでは需要の要望(業務用米)に対応できない。 そこで、「ひとめぼれ」に替わる早生で栽培性に優れた良食味品種を育成し、安定した良食味米生産を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「なすひかり」は、「コシヒカリ」を母、「愛知87号」を父として1990年に人工交配して育成した系統である。 2. 「ひとめぼれ」に比べて出穂期は1日程度、成熟期は2日程度遅い、「早生の早」に属する。 3. 「ひとめぼれ」に比べて稈長は同程度からやや長いが、稈質が強く耐倒伏性は優れる。 4. 耐冷性は「ひとめぼれ」と同等の「極強」で、穂発芽性は「難」である。 5. いもち病真性抵抗性遺伝子型はPia及び,Piiと推定され、ほ場抵抗性は葉いもち、穂いもちともに「中」で、「ひとめぼれ」より強い。 6. 収量性は「ひとめぼれ」より優れる。 7. 玄米千粒重は「ひとめぼれ」よりやや重く、外観品質は優れる。 8. 食味は「ひとめぼれ」と同等の「上中」である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 栃木県中北部の早植え地帯に奨励(認定)品種として普及する(普及見込み面積は3,000ha、新品種登録出願中)。 2. 耐倒伏性は「中」であり、多肥栽培は倒伏と品質低下を招くので適正な肥培管理を行う。 3. いもち病圃場抵抗性は葉いもち・穂いもち共に「中」であり、いもち病の発生が見られたら適期防除を行う。 4. 高温年や移植期が遅くなると、コシヒカリとの成熟期の差が縮まるので早期に移植する。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 いもち病 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 なす 肥培管理 品種 防除 良食味 |