タイトル | 早生、製粉、製めん性に優れる小麦新品種候補「群馬W10号」 |
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担当機関 | 群馬農技セ |
研究期間 | 1988~2003 |
研究担当者 |
広岡政義 高橋利和 成塚彰久 折茂佐重樹 大沢実 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 「群馬W10号」は、早生、短稈、多収であり、製粉性に優れて、めんの色調は黄色みがあり、やや低アミロースで粘弾性にも優れている。埼玉県で奨励品種に採用し、群馬県でも奨励品種に採用予定である。 |
キーワード | 小麦、早生、新品種 |
背景・ねらい | 関東東海地域は、「農林61号」が数十年にわたり主要品種として作付けされいる。作期分散を図るため早生品種が導入されたが、栽培性は良いが加工適性に劣り作付けを抑制又は中止した。そこで、早生で製粉性、製めん性に優れた小麦の育成を図った。 |
成果の内容・特徴 | 小麦「群馬W10号」は、早生、多収、加工適性の向上を育種目標として、1988年度に早生系統の母親:西海168号(後:きぬいろは)に早生、多収系統の父親:関東100号(後:バンドウワセ)を人工交配した。1989年度F1栽培をし、1990~91年度に世代促進を行った。1992年度に雑種第6代で穂選抜を行い、1993年度からは派生系統育種法により選抜固定を行った。1995年度から江系W230の系統名を付し生産力及び特性検定試験などの調査を行った。1998年度以降は「群馬W10号」の系統名で各県奨励品種決定調査に配付し地域適応性を検討した。その特性を確認して1999年産の雑種第13代で育成を終了し低温貯蔵に移した。2001年度に固定度調査のため系統栽培を行った。その世代は、雑種第14代である。 「農林61号」と比較して次の特徴がある(表1)。 1. 出穂期は5~6日程度早い。 2. 成熟期は3~5日程度早い。 3. 稈長は短く、穂数はやや多い、穂長は同程度である。 4. 穂発芽性は同程度、耐倒伏性に優れている。 5. 赤かび病抵抗性はやや弱、赤さび病抵抗性はやや強、縞萎縮病抵抗性は強である。 6. 収量性は高い、リットル重は同程度い、千粒重はやや小、品質は同程度である。 7. 製粉歩留、ミリングスコアは高く製粉性は良い。 8. 粗蛋白質含量は同程度、灰分含量はやや低い。 9. アミロース含量はやや低い、やや低アミロースである。 10. めん官能評価では、色、粘弾性、滑らかさに優れる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 適期播種や適正播種量に努め多肥栽培は避ける。 2. 病害虫防除では、赤かび病の発生に留意する。 3. 普及に当たっては、品質評価など実需者と協議しながら推進する。 |
図表1 | |
カテゴリ | 病害虫 育種 萎縮病 加工適性 小麦 新品種 抵抗性 播種 病害虫防除 品種 |