タイトル | ネギ小菌核腐敗病の多発要因と薬剤防除 |
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担当機関 | 千葉農総研 |
研究期間 | 1986~2003 |
研究担当者 |
竹内妙子 |
発行年度 | 2004 |
要約 | ネギ小菌核腐敗病は、7~10月の気温が低く、11~12月の降水量が多い年に多発する。多発が予想される年には、10月以降、薬剤を株元に良くかかるように予防散布してから土寄せする。 |
キーワード | ネギ、小菌核腐敗病、Botrytis squamosa、多発、防除 |
背景・ねらい | ネギ小菌核腐敗病(Botrytis squamosa)は、千葉県では11月頃から発生し、翌春の3月頃まで増加するが、その発生は年次による変動が激しい。そこで、過去の気象要因と本病の発生との関係を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 発病の適温は20℃以下である。昼15℃夜10℃及び昼20℃夜15℃の人工気象室でネギ苗に分生子を接種後土寄せすると、9~21日後に発病が確認されるが、昼25℃夜20℃の場合は発病しない。 2. 菌核は高温条件下の生存に適していない。菌核を1.5mlのサンプリングチューブに入れて乾燥を防ぎ、インキュベータ内で保存すると、40℃では2週間以内に、30℃では6週間以内に死滅する(図1)。 3. 菌核が越夏すれば、分生子形成は比較的容易である。菌核を地表面に置き、経時的に分生子形成を観察すると、7,8月以外は分生子が形成される。菌核は環境に応じて1~数か月間分生子形成を繰り返す。分生子は降雨の1~2日後に多数形成される。 4. 降雨は発病を助長する。ネギ苗に分生子を接種後土寄せし、灌水頻度を変えてガラス屋根付き網室で栽培すると、連日灌水区で多発するが、無灌水区では少発生となる(表1)。 5. 千葉県においては、1986(1986年晩秋~1987年初春)~2003年の間では1986年、1987年、1988年、1992年、1993年、2003年は多発生で、その他の年は少発生である。 6. 7~10月の低温は本病の発生を助長し、高温は阻害する。千葉市における7~10月の月別平均気温の準平年値はそれぞれ24.7℃、26.6℃、23.1℃および17.8℃である。これに対して、1986、1988、1992、1993、1996および2003年の7~10月積算月平均気温は低く、1987、1989、1990、1994、1995および1997~2002年は高い。7~10月が低温の年は1996年を除いていずれも多発年となっている(表2)。 7. 月積算降水量と発病との関係は気温ほど明瞭ではないが、11~12月の降水量が多いと発病する傾向がある(表2)。 8. 土寄せ前に薬剤を予防散布することで防除できる(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 冷涼な地域で多発する傾向がある。 2. 登録薬剤は多数あるが、いずれも発病してからでは防除効果は期待できないので、予防的に散布する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 乾燥 ねぎ 防除 薬剤 |