タイトル | アシタバに発生した9種新病害および葉枯病の薬剤防除 |
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担当機関 | 静岡大 |
研究期間 | 1989~2004 |
研究担当者 |
竹内 純 星 秀男 橋本良子 栄森弘己 久保田まや 堀江博道 |
発行年度 | 2004 |
要約 | アシタバの未記録病害9種について、防除の基礎とするため、病原菌を同定し、病名を付した。また、葉枯病に対してイプロジオン水和剤が有効である。 |
キーワード | アシタバ、新病害、薬剤防除、野菜 |
背景・ねらい | 東京都伊豆諸島の特産野菜アシタバ(Angelica keiskei)は国内シェア95%を超える重要品目である。アシタバの生産阻害要因となっている未記録病害について、防除の基礎とするため、病原菌を究明する。また、常発病害である葉枯病に対するイプロジオン水和剤の緊急登録拡大を図るため、その有効性を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. アシタバに発生する9種の新病害について、病原性および形態的特徴から病原菌を同定し、病名を付して記録した。各病徴を下記に、病原菌を表1に示す。 (1) 青枯病(八丈島):高温期に急激な萎凋を生じ、枯死する。排水不良圃場で発生が多い。 (2) 疫病(八丈島):茎葉が水浸状に軟化、腐敗する。幼苗では急速に蔓延し、株が腐敗、消失して坪枯れ状となる。低温性と高温性の2種の疫病菌が関与し、周年発生する。 (3) 葉枯病(生産地全域):葉脈に囲まれた褐斑が拡大、融合し、葉枯れを起こす。本病は常発しており、アシタバ生産圃場の大半で被害を生じている。 (4) 葉腐病(生産地全域):葉に褐色、不整形の病斑が拡大、腐敗し、淡褐色の菌糸で葉が綴られる。菌糸により隣接株に蔓延するほか、担子胞子での伝染も確認している。 (5) 灰色かび病(生産地全域):比較的冷涼な時期に発生する。葉に暗褐色,不整形の病斑が拡大し、灰褐色、粉状の菌体を生じ、葉枯れを起こす。 (6) 菌核病(生産地全域):地際茎部の軟化腐敗、株枯れを起こす。 (7) 苗立枯病(生産地全域):子葉期から本葉展開期の幼苗の地際茎部から根部が褐変し、くびれ、萎凋し、枯死する。 (8) 白絹病(生産地全域):高温期に発生し、地際茎部から根部が軟化、腐敗、枯死し、白色、絹糸状の菌糸と菜種状の菌核を生じる。 (9) うどんこ病(生産地全域):葉に白色、粉状の菌体を生じ、葉枯れを起こす。 その他の未報告病害:黒斑病(仮称、病原菌Phoma sp.)、炭疽病(仮称、2種以上のColletotrichum属菌が関与)、紫紋羽病(仮称)。 2. アシタバ葉枯病に対して、イプロジオン水和剤1000倍は防除価70.3~89.3と有効であり、薬害も認められない(表2)。また、アシタバにおけるイプロジオンの残留分析値は、1000倍液400lの3回散布7日後に0.7~1.4ppm、14日後には検出限界以下で、セリ科野菜の残留基準値5ppmより極めて低濃度である。イプロジオン水和剤1000倍散布はアシタバ葉枯病の防除に実用性があると判断される。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 発生病害の正確な診断により、適切な防除指導が可能となる。 2. アシタバにイプロジオン水和剤の適用を拡大申請中である(平成17年3月登録見込み)。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 病害虫 青枯れ病 うどんこ病 せり 立枯病 炭疽病 防除 薬剤 |