タイトル | PCR法を用いたトマト萎凋病菌レースと根腐萎凋病菌の迅速診断法 |
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担当機関 | 埼玉農総研 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
平野泰志 |
発行年度 | 2004 |
要約 | Fusarium oxysporum f. spのpolygalacuturonaseの遺伝子配列をもとにトマト萎凋病菌に特異的な4種類のプライマーを開発した。各プライマーを組み合わせることによりトマト萎凋病菌の各レース並びにトマト根腐萎凋病菌を迅速に判別できる。 |
キーワード | トマト、萎凋病、PCR法、診断 |
背景・ねらい | トマト萎凋病対策のためには、農薬散布低減並びに低コスト生産に配慮すると、台木の利用が有効である。しかし、用いるべき台木の種類は萎凋病菌レースによって異なるため、病気に対応した台木を選定する必要がある。現在のレース判別は検定植物に病原菌を接種し、発病程度や病状から判断しているため、1か月以上を要し、迅速な台木の選定が困難である。そこで、病原菌に特異的なプライマーを設計し、PCR法を利用した病原菌判別技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. Fusarium oxysporumのendopolygalacuturonase及びexopolygalacuturonase遺伝子を解析し、その塩基配列をもとに4種類のプライマーを開発した(表1)。 2. 4種共通プライマーセットを用いることにより、F. oxysporum f. sp. lycopersici(トマト萎凋病菌)レース1,レース2,レース3及びf. sp. radicis-lycopersici(トマト根腐萎凋病菌)を特異的に検出できる(図1)。 3. レース1・3判別セットによって、F. oxysporum f. sp. lycopersici レース1及びレース3を特異的に検出できる。レース2・3判別セットによって、レース2及びレース3を特異的に検出できる。根腐萎凋病菌判別セットによって、F. oxysporum f. sp. radicis-lycopersiciを特異的に検出できる(図1)。 4. 4種類のプライマーを組み合わせることにより、トマト萎凋病菌の各レース並びにトマト根腐萎凋病菌の4種を判別できる(図1)。 5. 16種類のF. oxysporum f. sp.を検定した結果、f. sp. conglutinans(キャベツ萎黄病菌)以外は判別できる(表2)。 6. 本方法は萎凋病感染組織から直接、PCR法による迅速診断にも応用可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. PCRの条件はDNA濃度1.0pg/μl以上、変性温度94℃ (1分),アニーリング温度62℃ (1分),伸長温度72℃ (2分)、反復回数50回である。 2. 1塩基の相異を認識するプライマーであるため、PCR反応液は特に留意する(プライマー最終濃度100pM,dNTP最終濃度167μM)。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 萎黄病 キャベツ 栽培技術 台木 低コスト トマト 農薬 |