作業競合を回避して実収量を高めるための飼料イネ生産体系の要点

タイトル 作業競合を回避して実収量を高めるための飼料イネ生産体系の要点
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2003~2007
研究担当者 湯川智行
元林浩太
米村 健
佐々木良治
大嶺政朗
高畑良雄
発行年度 2004
要約 収穫時に「コシヒカリ」との作業競合がなく、1t/10a以上の乾物実収量を得たのは、直播栽培では「夢あおば」を用いて穂数が400本/m2程度の時である。6月中旬の移植では、「クサユタカ」を用いた時であるが、大豆栽培跡や堆肥施用などの適切な肥培管理や収穫機の作業性の高いことが条件となる。
キーワード 稲発酵粗飼料、作業競合、飼料イネ、クサユタカ、実収量、夢あおば
背景・ねらい 稲発酵粗飼料の利用と拡大、定着・普及を促進するためには、耕種農家が高品質な飼料イネを安定的に畜産農家に供給し、信頼ある耕畜連携を育むことが重要である。飼料イネの安定供給のためには多収であることが重要であり、さらには低コストであること、食用稲などの他作物と作業や作期競合が起こらない栽培技術体系を確立することが必要である。ここでは,飼料イネ-大麦-飼料イネの2年3作体系を想定し、営農規模で実際に飼料イネ生産を行い、収穫作業時の競合が起こらずに、実収量を高めるための栽培技術体系の要点について明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
1作目の飼料イネ栽培が湛水直播栽培の場合、事例(2004年5月11日播種、品種:「夢あおば」)では、苗立ち数165本/m図1)。直播栽培では、収量は苗立ち数や穂数との相関が高いので、苗立ち数、穂数の確保が重要である。
2.
3作目の移植栽培の場合(大麦後の晩植)、事例(2004年6月14日移植、品種:「クサユタカ」)では、ダイズ栽培跡の水田で、圃場生育期間106日間で、最も高い乾物実収量1007kg/10aが得られた(図1)。移植栽培では、乾物実収量と穂数とは関係しない(図1)。堆肥(牛糞、0.8~1t/10a)の施用は、移植、直播栽培ともに、実収量増に効果的なプラス要因である(図2)。
3.
1作目の直播栽培が「クサユタカ」の場合、収穫期(黄熟期)は「コシヒカリ」と競合するが、より早生の「夢あおば」では競合しない(表1)。3作目の移植栽培の場合、「夢あおば」では収穫期(黄熟期)が「コシヒカリ」と競合するが、「クサユタカ」では競合しない。
4.
収量が1000kg/10a以上の事例では、刈高さが低く、収穫機の作業性を左右する円錐貫入抵抗値が高く、土壌含水率も低く、作業能率が高い(表1)。
成果の活用面・留意点 1.
実収量は、圃場(約1ha)ごとに、飼料イネ用ロールベーラ(フレール型)による収穫・梱包、ベールラッパによる密封後のロールベールを計量して測定した。
2.
飼料イネ「夢あおば」、「クサユタカ」の実証データとして活用できる。また、2年3作の輪作栽培体系を構築する際の基礎資料になる。
3.
TDN(可消化養分総量)は,48~61%(小川の方法)である.
4.
新潟県上越市と和島村における2003(低温)年と2004(高温)年での結果であり、他地域に適用する場合は気温等を考慮する。施肥は図表のBとIが窒素5kg/10a、その他が窒素7~8kg/10aである。
5.
収穫時の作業競合(表1)については,「飼料イネと大麦の2年3作体系における播種・収穫作業計画の支援ツール」(主要研究成果、平成15年度)による計算結果。「コシヒカリ」の移植期を5月10~20日、移植面積20ha、飼料イネ3haを想定。
図表1 217882-1.gif
図表2 217882-2.gif
図表3 217882-3.gif
カテゴリ 大麦 栽培技術 栽培体系 直播栽培 収穫機 水田 施肥 大豆 低コスト 播種 肥培管理 品種 輪作

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