有機培地と改良処方を用いたトマトの閉鎖型養液栽培技術

タイトル 有機培地と改良処方を用いたトマトの閉鎖型養液栽培技術
担当機関 栃木農試
研究期間 2000~2004
研究担当者 人見秀康
石原良行
中山千知
発行年度 2005
要約 有機培地を用いた排液を出さない新たな閉鎖型トマト養液栽培システムを開発した。本システムは、養分吸収量を基に作成した培養液処方を用い、基本管理モデルにより給液EC及び培地給液量を管理するもので、排液を全く出さずに安定生産できる。
背景・ねらい トマトのロックウール栽培では、余剰な培養液の排出や使用済培地の処理など環境への負荷が懸念されている。そこで、培養液の組成、給液EC、給液量及び培地給液と毛管吸水槽給液などの給液方法について検討し、有機培地を用いた排液を出さない新たな閉鎖型養液栽培システムを開発する。

成果の内容・特徴 1.
閉鎖型養液栽培システムは、杉樹皮を原料としたクリプトモス培地、培地台、培養液を貯蔵するための毛管吸水槽及び不透水シート、湿潤性シートからなる栽培槽と自動給液装置で構成される。給液方法は、培地給液と毛管吸水槽給液からなり、培地給液はドリップチューブを用いて培地上に行い、毛管吸水槽給液は三極電極等の水位センサーで制御し、毛管吸水槽に垂らした湿潤性シートを介して培地底面から供給される(図1)。
2.
給液された培養液がすべて植物体に吸収される構造となっている本システムの培養液組成について、トマトの各無機成分の収支(見かけの養分吸収量)を基に、大塚A処方を改善した改良処方を作成した。この培養液処方は、大塚A処方より培地内養液ECが安定し、生育、収量が優れる。(表1、2、一部データ略)。
3.
給液管理は基本管理モデルを目安に行う。給液ECは、促成及び促成長期どり栽培とも定植から12月上旬が1.2dS/m、12月上旬から2月中旬が1.4dS/m、その後徐々に下げ3月下旬以降1.0dS/mを目安とする。株当たりの培地給液量は、定植後から12月上旬までは促成長期どり栽培で200ml~500ml、促成栽培で200mlとし、その後1ヶ月ごとに100mlずつ増やし、3月中、下旬以降600mlで管理することにより、促成長期どり栽培で約9ヶ月間、促成栽培で約7ヶ月間の栽培期間中の排液を全く出すことなくトマトが栽培できる(図2)。

成果の活用面・留意点 1.
本システムは、品種に「ハウス桃太郎」を用いて培養液組成や給液の基本管理モデルを作成したが、「麗容」や中玉の「カンパリ」等の他品種でも適応できる。定植は4~5葉期に行う。また、有機培地(クリプトモス)の耐用年数は5年程度である。
2.
給液は培地のみでなく、培地と毛管吸水槽の両方で行った方が培地内養液ECが安定し収量も高いので、培地と毛管吸水槽の給液の割合は、植物体が吸収する量の半量ずつとする。なお、株当たり1回の培地給液量は100ml程度とする
3.
本栽培システムは(株)誠和で販売している。
図表1 217909-1.gif
図表2 217909-2.gif
図表3 217909-3.gif
図表4 217909-4.gif
カテゴリ くり 栽培技術 トマト 品種 養液栽培

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