ロングマット苗の養液非循環型の簡易育苗技術

タイトル ロングマット苗の養液非循環型の簡易育苗技術
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2004~2005
研究担当者 北川寿
白土宏之
岡田謙介
松崎守夫
安本知子
発行年度 2005
要約 ロングマット苗は、通常養液を常時循環する方式で育苗するが、ベッドの一端から液肥を1回ないし2回加えて養液を溜めておくだけの簡易な「流し込みプール育苗」方式でも、草丈などはやや劣るものの、均一な苗ができる。
キーワード 水稲ロングマット水耕苗、プール育苗、簡易、省力
背景・ねらい ロングマット苗移植技術は、田植えの省力化・軽労化技術として、地域農業を担う大規模経営の関心も高い。現行のロングマット苗は、ビニールハウス内に設置した育苗ベッドの上に種を播き、水中ポンプで養液を常時循環させる方式で育苗する。しかし、水耕装置の導入コストが大きく、広く普及するまでには至っていない。そこで、水を常時循環しないでも均一な苗ができる、簡便で省力的な育苗技術を確立する。

成果の内容・特徴 1.
ロングマット苗は、水分ムラが出ないように水平においた育苗ベッドで育てる。芽を均一に揃えるため、出芽は水をためず落水条件で行うが、水分不足にならないように、1日に1回は十分に灌水する。出芽が揃うまでは、乾燥と日中の高温、夜間の低温を避けるため、平置き出芽法で使用される遮光材や保温シートの付いた被覆資材でベッドを覆う。また、温度が低い時の育苗では草丈確保のため加温を行う(図1)。
2.
草丈が2~3cmに達したら、肥料を薄く溶かした養液をベッドの一端から加えて、プール育苗を行う(「流し込みプール育苗」)。この育苗方法は、簡便で省力的であるが、流し込んだだけでは肥料の濃度差による生育ムラが出やすい。そのため、肥料を溶かした養液をベッドの端から流し込み、その半分位を反対端から落とし、それを再び流し込んだ所から加え、ベッドの上の養液がよく混ざるようにする。これにより、草丈や根長は短い(表1)が、ほぼ慣行並みに揃った苗ができる(表2)。
3.
ロングマット苗は、ポンプを一定時間だけ作動させて養液を循環させる「間欠循環育苗」や、ジョロなどで毎日苗に均一に水をかける「散水プール育苗」でも育苗できる。ただし、どちらの方法でも、葉令や葉色は慣行と遜色ないが、草丈や根長は短い(表3)。

成果の活用面・留意点 1.
「流し込みプール育苗」により、養液タンクや水中ポンプを用いないでも育苗でき、育苗装置の低コスト化(1~2割)が図れる。また、装置が簡単になるためベッドを地面に直接置いた育苗も容易になり、その場合には地温の有効利用が期待できる。
2.
苗を均一に育てるには、ベッドの水平や温度ムラなどに十分注意をはらうこと。
3.
施肥や温度管理および、ベッドを直置きした場合の作業性向上については、検討が必要である。
図表1 217921-1.gif
図表2 217921-2.gif
図表3 217921-3.gif
図表4 217921-4.gif
カテゴリ 肥料 育苗 温度管理 乾燥 軽労化 コスト 省力化 水稲 施肥 大規模経営 低コスト

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