タイトル | 若手農業者の発想や戦略を取り込んだ地域農業振興のポイント |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2002~2005 |
研究担当者 |
宮武恭一 |
発行年度 | 2005 |
背景・ねらい | 水田農業構造改革においては、それぞれの地域が、担い手自身の発想と戦略に基づき、高い生産性と持続性を備えた水田農業を確立することが求められている。しかし、水田作を中心とした北陸地域の農業においては将来の担い手である20~30歳代の若手農業者は40~50歳代の経営主世代に比べて極めて少数となっており、彼らの経営動向が地域農業の将来方向に大きく影響する。そこで、若手農業者の組織活動を核とした先進的な水田農業が展開している新潟県K村を取り上げ、若手農業者の発想や戦略を取り込んだ地域農業振興のポイントを明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 農地流動化が進み、大規模経営が多数成立しているK村においても、20~30歳代の若手農業者は大規模農家の後継者や従業員など25名にまで減少しているが(表1)、彼らの多くは同世代の仲間と新たな技術や事業に取り組むための組織活動に参加しており、この組織が若手農業者の成長に重要な役割を果たしている。 2. 若手農業者の組織活動は、参加するメンバーの新たな技術や経営方法に対する関心や理解を高める、新たな技術や事業を始めるために重要な情報や人脈をメンバーが共有できるという機能を持つ。この機能により、1996年に全村的な作業受託を行う無人ヘリ防除組織、1997年に直播栽培の技術修得のための直播研究会、2000年にJAS有機米の栽培技術修得と共同販売のための有機米販売組織というように、新事業に取り組む組織が連鎖的に誕生するとともに、若手農業者の新たな経営展開が促進された。例えば、以上の組織に全て参加している若手農業者N氏の経営では(図1)、組織活動を通じて、規模拡大の加速、多様な品揃えによる高付加価値化、地域農業の担い手としての地位確立をめざすなど、地域との関係を重視した経営戦略が構築されている。 3. JAや行政は、担当者をこうした若手農業者がリードする組織活動に参加させ、地域農業の将来の担い手の経営戦略を把握するとともに、こうした若手の活動を支援するために機械施設の整備やコメの販売業務の代行、専門家の紹介などを行っている(図2)。こうしたJAや行政による若手農業者の組織活動に対する支援は、若手農業者の活動そのものが事業として成立するのを促進するだけでなく、その活動を経営主世代も参加した、より広域的な活動へと発展させる契機となり、地域農業全体の振興を進める上で有効である。 |
成果の活用面・留意点 | 本情報を活用して地域農業振興を効率的に進めるためには、JAや行政において従来、経営主世代を中心とした地域農業振興を進めてきた経営・生産対策部署と若手農業者支援部署との連携を深めることが重要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 規模拡大 経営管理 高付加価値 栽培技術 直播栽培 水田 大規模経営 防除 |