牛ふん堆肥および豚ふん堆肥の短期的窒素肥効の指標とその推定法

タイトル 牛ふん堆肥および豚ふん堆肥の短期的窒素肥効の指標とその推定法
担当機関 新潟畜産研
研究期間 2000~2004
研究担当者 安藤義昭
小柳渉
和田富広
発行年度 2005
要約 易分解性有機物含量が少ない牛ふん堆肥および豚ふん堆肥の短期的窒素肥効を示す指標は、堆肥に含まれる1M塩酸可溶無機態窒素(アンモニア態窒素+硝酸態窒素)量である。これらはミキサーで抽出後小型反射式光度計を用いて簡易に推定できる。
キーワード 牛ふん堆肥、豚ふん堆肥、窒素肥効、無機態窒素、小型反射式光度計
背景・ねらい 家畜ふん堆肥の窒素肥効量を把握することは、家畜ふん堆肥の肥料的利用を行う上で極めて重要であり、環境負荷低減につながる。棚橋らは鶏ふん堆肥について、従来のKC1ではなく塩酸で抽出したアンモニア態窒素量により培養無機態窒素量を推定できると報告している(H14年度成果情報)。そこで、これをもとに牛ふん堆肥と豚ふん堆肥について検証し、さらに窒素肥効量推定のための成分簡易測定法を開発する。

成果の内容・特徴 1.
本法は酸性デタージェント可溶有機物含量400mg/g乾物以下の家畜ふん堆肥に適用できる。本検討に用いた牛ふん堆肥および堆積方式で作製された豚ふん堆肥と、開放撹拌方式で作製された豚ふん堆肥が、酸性デタージェント可溶有機物含量400mg/g乾物以下に該当した。
2.
酸性デタージェント可溶有機物含量400mg/g乾物以下の牛ふん堆肥および豚ふん堆肥では、堆肥中無機態窒素(アンモニア態窒素と硝酸態窒素の合計量)を従来のKC1よりも1M塩酸で抽出する方が、30℃4週間培養無機態窒素量との関係が明確になること(図1)を確認した。これは従来の抽出法では評価できなかったMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)を評価出来たためと考えられた。
3.
牛ふん堆肥および豚ふん堆肥と化学肥料の無機態窒素供給量と4週間のコマツナ栽培試験における窒素肥効量(窒素吸収量)は一致する(図2)。すなわち、牛ふん堆肥および豚ふん堆肥の窒素肥効量は堆肥中無機態窒素量である。
4.
家畜ふん堆肥中1M塩酸可溶アンモニア態窒素は0.1M硫酸ミキサー抽出と小型反射式光度計を用いることにより簡易に推定できる(図3、図4)
現物中アンモニア態窒素含量 mg/g=小型反射式光度計表示値×3.885×補正係数
5.
アンモニア態窒素含量と、同一のミキサー抽出液から別途小型反射式光度計で推定した硝酸態窒素含量(H15年度成果情報)を合計することにより無機態窒素含量が求まる。
6.
無機態窒素含量推定1回当たりの所要時間は約30分と迅速で、消耗品は各成分100~150円と安価であり、普及指導機関で容易に取り組める。

成果の活用面・留意点 1.
同一抽出液からリン酸・カリの簡易測定(H15年度成果情報)も行えるので、施肥設計に基づく効率的かつ適正な堆肥の利用促進が期待される。
2.
酸性デタージェント可溶有機物含量400mg/g乾物以上の堆肥については、無機態窒素が少なくとも推定値以上含まれ、その分は減肥できるという判断にとどめる。
3.
アンモニウムテストはロットにより表示値が異なる場合があるので、ロット毎に標準液(NH4-N 3.0μg/ml)を測定し補正係数を求めておく。
補正係数=3.0×1.29/(3.0μg/mlでの小型反射式光度計表示値)
図表1 218008-1.gif
図表2 218008-2.gif
図表3 218008-3.gif
図表4 218008-4.gif
カテゴリ 肥料 簡易測定 環境負荷低減 こまつな 施肥

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