タイトル | 整枝せん定、施肥、土壌改良によるニホンナシ「幸水」の樹勢回復と増収効果 |
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担当機関 | 長野南信農試 |
研究期間 | 2001~2004 |
研究担当者 |
今川昌平 山近龍浩 船橋徹郎 小川秀和 泉克明 前島勤 齋藤龍司 宮下純 塩原孝 |
発行年度 | 2005 |
要約 | ニホンナシ「幸水」の低収量園では、側枝密度、長果枝側枝比率を改善した整枝せん定法、窒素肥料を年4回に分施する施肥法、部分深耕と堆肥局所施用による土壌改良法の組み合わせにより、樹勢が回復し増収する。 |
キーワード | ニホンナシ、「幸水」、整枝せん定、施肥法、土壌改良法、樹勢回復、増収 |
背景・ねらい | ニホンナシ「幸水」は20年生以上の高齢樹が多くなり、樹齢経過により樹勢は低下し、平均収量は約2.3t/10aにとどまり、収益性の低下が問題になっている。原因として花芽着生の不安定による着果量不足、樹勢低下による果実肥大不良等の影響が考えられる。これまでに整枝せん定法、施肥法、土壌改良法による個別の改善技術を開発したが、これらの改善技術組み合わせによる効果を確認する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 整枝せん定法、施肥法、土壌改良法の改善技術を組み合わせて行うと、処理1年目からえき花芽着生が良い傾向を示し、処理2年目からは増収効果と樹勢回復傾向が認められる(図1、表2)。 2. 側枝枝密度、長果枝側枝比率とも処理2年目で目標値に改善できるが、前年気象等によるえき花芽着生の多少に影響される(表1)。 3. 果実品質は年により優劣があり、改善技術組み合わせによる明らかな傾向は認めなれない(表2)。 4. 整枝せん定法は、収量4kg/m2、糖度12.5%以上の果実を生産のため、側枝密度250~300cm/m2、長果枝側枝比率50~70%を目標とする。 5. 施肥法は、年4回の分施を行う。年間施肥窒素量は16~20kg/10aとし、窒素量比率で基肥(12月)40%、3月追肥15%、6月追肥15%、礼肥(9月)30%とする。 6. 土壌改良法は、秋冬期に樹の主幹と樹冠外周部の中間地点で、1樹当たり8ヶ所を部分深耕し直径30cm・深さ40~50cm程度の穴を掘り、そこへ良質な堆肥1~2t/10a(全窒素量で10kgを上限)を埋め戻す。土壌改良は計画的に実施する。 |
成果の活用面・留意点 | 1. えき花芽着生が良い場合でも短果枝側枝を30%は用い、同年の側枝のみが並ばないようにする。 2. 土壌改良法による樹勢回復効果は4~5年程度続くと考えられる。また、部分深耕は専用機を用いるが、礫が多いほ場では目標とする深さまで深耕が困難な場合がある。また、施用する堆肥は、完熟した良質堆肥を用いる。 3. 整枝せん定法は「平成13年度長野県普及に移した農業技術」、施肥法は「平成14年度長野県試験をして得られた技術」、土壌改良法は「平成14年度長野県普及に移した農業技術」の情報を参考にする(http://www.alps.pref.nagano.jp/hukyu/index.htm)。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 肥料 樹勢回復 施肥 土壌改良 |