ヤマブドウの雨除け栽培による安定生産

タイトル ヤマブドウの雨除け栽培による安定生産
担当機関 岐阜中山間農技研
研究期間 2003~2005
研究担当者 神尾真司
浅野雄二
宮本善秋
発行年度 2005
要約 ヤマブドウを発芽期から収穫期まで雨除けすることで、殺菌剤無散布でもべと病、晩腐病の被害を大幅に軽減できる。これにより、十分成熟した果実が収穫でき、糖度が高く、酸含量が低く、果汁色の濃い加工用として高品質な果実が安定生産できる。
キーワード ヤマブドウ、雨除け栽培、べと病、晩腐病、減農薬、安定生産
背景・ねらい 岐阜県飛騨地域の山中に多く自生するヤマブドウ(Vitis coignetiae Pulliat ex)は、ワインやジュース等への加工で特産品化が期待される品目で、標高の高い地域を中心に栽培化が進められている。しかし、栽培年数の経過とともにべと病、晩腐病等の病害が多発し生産が不安定となっている。また、晩腐病による減収を回避するため早取り傾向となり、年により十分な品質が得られない。
そこで、パイプハウスによる雨よけ栽培が病害発生ならびに収量、品質に及ぼす影響を検討し、減農薬・安定生産技術を確立する。

成果の内容・特徴 1.
垣根仕立て栽培(樹間3m、列間2.5m、一文字2段整枝)のヤマブドウを、発芽期頃から収穫終期までの期間、パイプハウス(間口5.4m、棟高3.5m)を用いて、天井のみビニール被覆し雨除け栽培する(図1)。
2.
雨除け栽培により、露地栽培に比べ開花期が1日程度早まり、落葉期が5日程度遅くなる。なお、雌株、雄株の開花期のずれはなく結実には問題ない(表1)。
3.
雨除け栽培により、殺菌剤を散布しなくても主要病害であるべと病ならびに晩腐病の被害が大幅に軽減され、1樹あたり約7kg、10aあたりに換算すると700kg以上(雌株栽植本数が10aあたり106本の場合)の可販収量(病害虫被害果粒が25%以下の果房の収量)が得られる(表2)。
4.
晩腐病の被害が抑えられることにより、健全な状態で十分成熟するまで果房を維持できるため、糖度が高まり、酸含量が低下し、果汁色が濃くなり、ワイン等の加工に適した高品質な果実の生産が可能となる(図2)。

成果の活用面・留意点 1.
当該試験に供試したヤマブドウは、当研究所が岐阜飛騨地域の山中より採取し選抜した系統である。
2.
雨除け栽培条件下では新梢伸長が旺盛となる傾向があるため、夏季剪定を行い受光態勢が悪化しないよう努める。
3.
ハウスの大きさは、仕立て法、ほ場の条件によって決定するが、樹体と天井ビニールとの空間が狭いと、葉焼け、着色不良等の高温障害を受けることがあるので注意する。
4.
害虫に対しては、発生に応じて薬剤防除を実施する。
図表1 218022-1.gif
図表2 218022-2.gif
図表3 218022-3.gif
図表4 218022-4.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 加工 高温対策 栽培条件 農薬 ぶどう 防除 薬剤 ワイン

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