促成栽培用イチゴ新品種「ゆめのか」の育成

タイトル 促成栽培用イチゴ新品種「ゆめのか」の育成
担当機関 愛知農総試
研究期間 1999~2004
研究担当者 番 喜宏
矢部和則
発行年度 2005
要約 促成栽培用イチゴ新品種「ゆめのか」は、大果・多収で、糖度と酸度が共に高く良食味で、果肉が多汁質で果皮は硬いため流通適性が高い、また、草勢強くて栽培容易であるなど、優れた特性を有する。
キーワード イチゴ、促成、品種
背景・ねらい 愛知県のイチゴ栽培における主力品種の「とちおとめ」は、高収量を上げるには高度な技術が必要であること、また「章姫」は、果実が軟らかなため、春先以降の収穫作業に多忙を極め、流通適性に欠けることが問題である。そこで、良食味で、果皮が硬く、連続出らい性で収量が多く、栽培容易な本県オリジナルの促成栽培用品種の育成をめざした。

成果の内容・特徴 1.
育成経過
1999年春に、連続出蕾性の「久留米55号」((独)九州沖縄農業研究センター育成)と、「女峰」×「ピーストロ」の後代系統に「アイストロ」を交配して育成した果皮の硬い「系531」(愛知農総試育成)を交配した。実生120個体から選抜を開始し、2001年度に最も形質が優れた1系統(イチゴ愛知6号)を選抜した。2002年~2003年度に短日夜冷育苗を含めた特性検定試験及び現地適応性試験を実施した。その結果、育種目標を達成していると判断し、2004年に品種登録の出願を行った(図1)。
2.
特性
1)
高温期でもランナーの発生は旺盛で、発根も良い。
2)
草姿は立性で草勢は強く、草丈、葉柄の長さ及び果房の長さは、いずれも「とちおとめ」より大きく「章姫」より小さい(表1、図2)。葉色は緑で「とちおとめ」や「章姫」より淡い。
3)
開花及び収穫開始時期は、ポット育苗及び夜冷育苗ともに、「とちおとめ」や「章姫」より1週間から10日遅い(表2)。花芽分化期は9月下旬と考えられる。
4)
連続出蕾性で収量は安定して多く、短日夜冷育苗で4月末日までに株当たり800gあまり収穫できる(表2)。果形は円錐形で、2月までの平均果重が20gを越え、3月以降も平均16~17gの揃いの良い果実が収穫できる(図2)。果皮色は鮮紅色で、完全着色後も暗色化が遅い。糖度は「とちおとめ」並で、酸度は「とちおとめ」より低いが「章姫」より高く、多汁質で食味が良い。果房あたり着果数は20果程度であるが、草勢が強い場合にはさらに増える傾向がある。
5)
貫入抵抗値による果実硬度は、「章姫」よりかなり硬いが「とちおとめ」より若干軟らかい。貫入変形量は、「章姫」及び「とちおとめ」より収穫後の変化が少なく、店もちは良い(データ略)。
6)
うどんこ病に対しては、果実に軽度の発病がみられるが、葉での発病はほとんど観察されず、「章姫」や「とちおとめ」に比べてやや強いと考えられる。

成果の活用面・留意点 1.
本ぽの基肥は「とちおとめ」と同程度とする。葉色が「とちおとめ」や「章姫」と比較してやや淡いため、肥料不足と判断しないように注意する。
2.
果房あたり果実数が多くなりやすいので、摘果管理が必要である。
3.
炭疽病には、「とちおとめ」と同程度の注意が必要である。
4.
適用地域は、中部から西南日本を中心とした促成栽培地帯である。
図表1 218060-1.gif
図表2 218060-2.jpg
図表3 218060-3.gif
図表4 218060-4.gif
カテゴリ 肥料 育種 育苗 いちご うどんこ病 新品種 炭疽病 品種 良食味

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