タイトル | 高糖度トマト根域制限式養液栽培のための2系統給液循環システム |
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担当機関 | 静岡農試 |
研究期間 | 2002~2004 |
研究担当者 |
大石直記 忠内雄次 堀内正美 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 2系統給液循環システムは、高糖度トマトの根域制限式養液栽培において、水ストレスを付与するストレス培養液とその他の成分からなる基本培養液を別系統で給液するもので、培地からの余剰排液はストレス培養液に混合後、EC調節のみで再利用できる。 |
キーワード | トマト、養液栽培、2系統給液循環システム、根域制限、布センサ |
背景・ねらい | 水ストレスを付与するためCa、Mg、Na等を増量添加した高濃度培養液を用いる高糖度トマトの根域制限式養液栽培(ワンポット式、3段摘心密植栽培)では、培地からの余剰排液が高濃度に濃縮するため、ECを調節するだけで排液を循環させるとNO3-N等が欠乏する問題点があった。そこで、煩雑な肥料成分の調節をしなくても排液が循環・再利用でき、高糖度トマトの安定生産が可能な給液循環システムを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 2系統給液循環システムは、高濃度培養液のうち水ストレスを付与するためのストレス培養液(Mg、Ca、Na等、EC6 dS/m)とトマトの養分吸収に合わせた基本培養液(NO3-N、P、K、微量要素等、EC2 dS/m)を分割し、別系統でポットに点滴給液するものである(図1)。給液は両培養液とも1回当たり30ml/株で同時に行い、布センサに基づく培地水分量に応じて給液量(回数)を制御する。培地からの排液はストレス培養液に混合し、ECを6 dS/mに調節してから再給液を行う。 2. 基本培養液のNO3-N濃度を8 me/L以下にすると培地からNO3-Nは排出されないため、排液の混合によるストレス培養液へのNO3-Nの流入を考慮する必要はない(図2)。 3. 基本培養液のNO3-N濃度を低下させることにより、トマトの茎径、葉面積、地上部の生体重および乾物重は減少するが、8me/L以上では慣行のかけ流し(1系統点滴給液、EC4 dS/m、NO3-N濃度12 me/L)と同等となる。 4. 基本培養液のNO3-N濃度の低下により、可販果収量、一果重は減少するが、8me/L以上でかけ流しと同等となる(図3)。果実糖度に対するNO3-N濃度の影響はみられず、いずれもBrix 9.5%以上に上昇する(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本成果は、品種「桃太郎ヨーク」を用いた高糖度トマトの冬春栽培(定植 12月、収穫 4~5月)で得られたものである。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 肥料 栽培技術 トマト 品種 養液栽培 |