タイトル | 促成イチゴ高設栽培の短日・スポット夜冷処理による早期定植、収穫技術 |
---|---|
担当機関 | 愛知農総試 |
研究期間 | 2004~2005 |
研究担当者 |
齋藤弥生子 矢部和則 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 高設栽培に定植したイチゴに対し、夕方~翌朝にかけて遮光し、株元へ冷気の送風を行う短日・スポット夜冷処理法は、未分化苗定植でも、早期より連続出らいが可能で、早期定植による定植期の拡大が可能である。 |
背景・ねらい | 愛知県では、イチゴの高設栽培普及率が25%を越え、大規模経営を指向する農家が多くなっている。しかし、イチゴは、花芽分化に低温・短日条件を必要とするため、温暖地において連続出らい・収穫が可能な定植適期は、9月の1ヶ月間に限定され、規模拡大の障害となっている。そこで、高設栽培方式において、本ぽに未分化苗を定植し、短日処理と株元への効率的な冷気の送風処理を行う方式により、花芽分化促進を図る早期定植・早期収穫技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 短日・スポット夜冷は、17:00~翌日9:00まで遮光率100%のビニルでイチゴの栽培ベットと定植株を遮光し、同時にスポットクーラー(D社製)に接続したポリエチレンダクトから株元のみスポット的に約15℃の冷気を吹きつける処理法である(図1)。 2. 慣行より40日以上早い7月23日に未分化苗を高設栽培装置に定植後、短日・スポット夜冷処理を実施し、温度を測定したところ7月23日~8月23日までの1ヶ月間における17:00-翌9:00の地表からの高さ2cm地点の平均処理温度は22.4℃で、無処理区の25.7℃より3.3℃低く、短日夜冷庫処理区の18.3℃より4.1℃高く推移する(表1)。開花期(データ略)から見て「とちおとめ」の平均処理温度は地表からの高さ2cm地点で25℃以下であれば短日夜冷庫処理と同等の花芽分化促進効果がある(表1)。 3. 短日・スポット夜冷処理を7月23日から9月30日まで行った「とちおとめ」の頂花房平均収穫日は、花芽分化促進処理を行わずに7月23日に定植した区(早定+無処理)に比べ2ヶ月以上早く、第1次えき花房収穫日も50日以上早い。短日夜冷処理育苗後定植した区と比べ、頂花房はほぼ同等であったが、第1次えき花房以降は、約20日早期化する。本ぽに定植した状態で短日・スポット夜冷処理を行うことにより、連続出らいが可能である(図2)。 4. 短日・スポット夜冷では、定植後に処理を始めるので生育は旺盛である(データ略)。また、連続出らいするため、他の処理区と比べ収量が高く、連続収穫できる(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 処理効果を高めるために、ハウス外部には適当な遮光資材を利用する。 2. 処理温度、処理期間は、品種毎の検討が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 育苗 いちご 温度処理 規模拡大 栽培技術 大規模経営 品種 |