タイトル | 温湯加熱処理した高冷地特産ニンジンの臭気低減と甘味増強の機序 |
---|---|
担当機関 | 新潟農総研食研セ |
研究期間 | 2005~2006 |
研究担当者 |
西脇俊和 秋本隆司 浅野聡 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 50℃2時間温湯処理した高冷地産の夏秋ニンジンは香気が低減し、甘味が増強する。 |
キーワード | 温湯処理、夏秋ニンジン、香気低減、甘味増強 |
背景・ねらい | 高冷地特産の夏秋ニンジンを温湯加熱処理することにより、ニンジン臭の低減化が図られるため、食味に関与するニンジン臭の低減化及び甘味増強について、その特長を分析により確認する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ニンジンの温湯処理は、沸騰水中で1分間ブランチング後、50℃2時間水中に浸漬する工程からなる(図1)。 2. ニンジン香気成分のうち既知の成分Terpinolene、β-Cariophyleneは強くCamphorは弱く検出される(図2)。また、ニンジン臭を強く特徴づける他成分も匂いかぎ分析で検出されるが、ヘッドスペースGC-MSで明確に検出されない。なお、GC-MS分析条件は次のとおりである。カラム:DB-WAX(0.25mm×30m、膜厚0.25μm、Agilent製)、カラムオーブン温度:35℃(5分)~(10℃/分)~250℃、キャリアガス:ヘリウム(120kPa)、イオン化電圧:70eV 3. 無包装で50℃2時間、温湯処理したニンジンは無処理のものと比較すると、ニンジンの香気成分が半減する(図2)。同様に、匂いかぎ分析でも特徴あるニンジン臭が低減するため、全体的にニンジンの香り成分は低減する(図2)。 4. ニンジンの主な糖は、ショ糖、ブドウ糖、果糖である。温湯処理したニンジン磨砕液 のこれら糖は無処理と比較しいずれも多い(表1)。 5. 温湯処理したニンジンは、無処理のニンジンと比較してやわらかく(図3)、甘味が強く感じられる特長がある。これはニンジンを温湯処理することにより、糖分が組織細胞から抽出されやすくなり、甘味をより強く感じるためである(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 温湯処理条件等の詳細は「高標高畑における高度利用阻害要因の解明」H15単年度試 験成績(食品研セ)を参照すること。 2. ニンジンを大量に温湯処理するには設備が必要である。 3. 温湯処理を行ったニンジンは表皮が熱処理されているため、青果ではなく半加工製品である。傷みやすいため保存、流通には注意が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 香り成分 加工 にんじん 良食味 |