タイトル | 小麦「イワイノダイチ」の奨励品種採用 |
---|---|
担当機関 | 岐阜農技研 |
研究期間 | 1998~2004 |
研究担当者 |
吉田一昭 荒井輝博 松古浩樹 宇次原清尚 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 早播による凍霜害及び入梅後収穫による品質低下を生じ易い「農林61号」を補完する早熟品種として、多収で栽培特性や製粉・製麺性が優れる「イワイノダイチ」を奨励品種に採用する。 |
キーワード | コムギ、早熟、イワイノダイチ、奨励品種 |
背景・ねらい | 小麦「農林61号」は、県民食料確保計画に基づいて県下各地で増産されているものの、面積拡大に伴い、早播による凍霜害の発生、或いは入梅後の雨間収穫により、低アミロ麦の発生はないものの、粒の退色や容積重の低下など品質低下が生じて問題となっている。そこで、より早熟で凍霜害が少なく、しかも製粉性や製麺性が優れる「イワイノダイチ」を奨励品種に採用し、県内の小麦生産の安定化を図る。 |
成果の内容・特徴 | 「農林61号」と比較して次の特徴があるので、奨励品種に採用する。 1. 播性がIVで、早期茎立ちによる凍霜害の被害が少ない(育成地情報)。 2. 出穂期は3日、成熟期は2日早い(表1)。 3. 稈長は7cm程度短く、倒伏に強い(表1)。 4. 穂数は多く、穂長もやや長く、多収である(表1)。 5. 千粒重は重い(表1)。 6. 外観品質はやや優れ、粒は同じく赤粒種である(表1)。 7. 原粒粗蛋白質含量は0.5%程度低い(表1)。 8. ミリングスコアや粉色が優れる(表2)。 9. 麺色、粘弾性及び総合点の製麺性が優れる(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 栽培地帯と播種期の組合せにより入梅前の収穫完了が期待でき、品質低下が避けられる。 2. 晩播すると蛋白質含量が高くなり易く(表3、表4)、粉と麺の色調を劣化させるため(表3)、適正な栽培管理に努め、粗蛋白質含量を上げ易い晩播や出穂期以降の追肥を避ける。 3. ふ色及び粒色が農林61号と同じであるため、収穫調製時の混種に留意する。 4. 適地適作と民間流通を考慮して、現段階では農林61号の補完品種として普及開始するが、順次作付面積を拡大していく(普及予定面積は、農林61号と完全入替えが可能と判断されれば、2,000ha)。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 小麦 栽培技術 播種 品種 |