タイトル | レーザーブレイクダウン分光法による迅速な肥料成分分析装置 |
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担当機関 | 神奈川農技セ |
研究期間 | 2004~2004 |
研究担当者 |
竹本 稔 藤原俊六郎 |
発行年度 | 2005 |
要約 | レーザーブレイクダウン分光法で迅速に肥料成分を測定するための装置を開発した。本装置では、酸分解処理を行わないで多種類の肥料成分(C,N,P,K,Ca,Mg)を一括で迅速に測定することが可能である。 |
背景・ねらい | これからの施肥は、堆肥中に含有する肥料成分を勘案した施肥が必要である。そのためには、堆肥の肥料成分を簡易に迅速に測定することが望まれる。 そこで、原子力分野で開発された技術であるレーザーブレイクダウン分光法(LIBS法)の肥料成分分析法への適用の可能性を検討するため、本法を用いた肥料成分分析装置を試作し、その有用性を検証する。 |
成果の内容・特徴 | 1. レーザー元素分析装置(試作装置 写真1)は、試料への高出力密度のレーザーの照射により生じるイオン化→基底状態の変化による発光を検出することにより元素種、量を迅速に検出できる技術(図1)を堆肥成分分析用に装置化したものである。 2. 本装置では、圧縮成型試料に各元素毎27回のレーザーのピンポイント照射を行い、発光強度を検出する。発光強度は各元素ごとにピーク波長と近接するバックグラウンド波長で測定を行い、各測定値の差を総プラズマ強度(照射レーザーの全エネルギー値)で補正することにより、相対発光強度を算出する(図2)。この時の測定時間は、約5分/点である。 3. N,P2O5,K2O含有率の異なる3種類の乾燥粉砕試料(牛ふん堆肥)に蛍光X線測定用バインダー材(X-ray Mix)(20%(w/w))を添加し、成型試料の性状の均質化を行い、レーザー元素分析装置(試作装置)による測定を行うと主要な堆肥含有成分含有率(C,N,P,K,Ca,Mg)と発光信号量の間で良好な相関関係が得られる(図3)。 4. 各元素ごとに選定した波長、レーザー出力(未掲載)において、堆肥に化学肥料を添加し、元素濃度を調整し、測定するとK、Ca等(図未掲載)では、高濃度域で飽和傾向にあるが、各元素とも良好な直線性が得られる(図4)。 5. 各元素測定時の測定誤差は、各元素とも10%程度以下である(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本試験のデータは、東芝(株)の製造した試作装置におけるものである。 2. 本試験のデータは、数点の牛ふん堆肥を用い、測定を行った結果であるので、今後、他材料の堆肥での検討も含め、多数試料での検討が必要である。 3. レーザーによる照射径は微細なので供試試料は微粉砕(0.5mm径以下)することが必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 乾燥 施肥 |