タイトル | セルラーゼ剤によるトウガラシマイルドモットルウイルスの感染抑制 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2005~2005 |
研究担当者 |
岡紀邦 大木健広 長岡一成 竹中眞 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 市販の数種のセルラーゼ剤には、トウガラシマイルドモットルウイルスの感染を抑制する効果がある。ウイルス液と混合すると感染力が低下し、また、あらかじめピーマンの茎葉に噴霧処理することによって、その後の感染が抑制される。 |
キーワード | ピーマン、モザイク病、ウイルス病、セルラーゼ |
背景・ねらい | トウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV)によるピーマンモザイク病は、果実の品質や収量を低下させて大きな経済的損失をもたらす重要病害である。PMMoVは感染力が強く管理作業によって少数の感染株から圃場全体に広がってしまう。そのため、地上部のウイルス感染を防ぐことが本病防除のひとつの大きなポイントとなる。これまでの研究で、PMMoV感染根を含む土壌にセルロースを添加することで、PMMoVの不活化が促進されることを見出した。セルロースを添加した土壌ではセルラーゼ生産微生物が増加するが、セルラーゼによるウイルスの不活化促進や感染抑制作用については報告がない。そこで、土壌微生物由来の市販セルラーゼ剤についてPMMoVの感染抑制効果を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 植物ウイルスの定量によく用いられる局部病斑法(検定植物は、Nicotiana glutinosa)によって各種セルラーゼ剤の感染抑制効果をみると、Trichoderma reesei 由来セルラーゼ(図1-a)、Trichoderma viride 由来セルラーゼ(図1-b)、Trichoderma 由来とAcremonium由来のセルラーゼ合剤(図1-c)では、強い感染抑制効果を示し、10-2 g/Lまで濃度を低下させても病斑をほとんど生じない。既存の感染抑制剤であるシイタケ菌糸体抽出物(図1-d)やスキムミルク(図1-e)と比較するとより低濃度で感染抑制効果を示す。 2. ピーマン苗(ニュー土佐ひかり)を用いたポット試験で、セルラーゼ剤の葉面散布3時間後にPMMoVを接種して感染抑制効果をみると、Trichoderma reesei 由来セルラーゼ、及びTrichoderma 由来とAcremonium 由来のセルラーゼ合剤の処理で感染株数が大きく減少する。これらの効果はシイタケ菌糸体抽出物やスキムミルクよりも大きい(表1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. セルラーゼ剤は平成18年1月現在、農薬取締法に基づく登録がされていないので、試験研究以外には使えない。 2. セルラーゼ剤には不純物が含まれるので、今後、感染抑制の有効成分の解明が必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 肥料 病害虫 栽培技術 しいたけ 植物ウイルス とうがらし 農薬 ピーマン 防除 |