トマト根腐病防除における銀めっき資材からの銀イオンの溶出条件

タイトル トマト根腐病防除における銀めっき資材からの銀イオンの溶出条件
担当機関 神奈川県農技セ
研究期間 2005~2005
研究担当者 山田 裕
小川潤子
発行年度 2005
要約 銀めっき資材からの銀イオン(以下Ag)の溶出は、培養液中の塩化物イオン(以下Cl)濃度と水温に影響され、原水水質及び水温から殺菌に有効な銀濃度を確保するのに必要な浸せき期間が推定できる。一方、原水水質のCl濃度が20mg/L以上の場合は、本資材の導入は困難である。
キーワード オクトクロス、塩化物イオン、養液栽培、根腐病
背景・ねらい 養液栽培における根腐病対策として、銀粒子を繊維表面にめっきした資材(オクトクロス)が開発され、関西地方を中心に導入されている。神奈川県でもトマト水耕栽培の根腐病防除対策として横浜地区を中心に導入実績があるが、その効果が不明で、その後の使用実績はほとんどない。このため、資材からのAgの溶出条件を解明し、資材導入における基礎資料とする。

成果の内容・特徴 1.
純水を原水とし、山崎トマト処方2単位の培養液を調整し、さらにNaClを添加して3段階のCl濃度を設定する。また、原水として井戸水、水道水を併せて供試すると、試験開始時の各処理区のCl濃度は、それぞれ純水(1.0)、Cl濃度5区(6.2)、Cl濃度10区(11.1)、Cl濃度20区(21.5)、井戸水(3.9)、水道水(12.0)mg/Lである。さらに、Cl以外に処理間に濃度差がみられるのは硫酸イオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオンであるが、微量要素濃度はほぼ同程度である(データ省略)。
2.
25℃におけるAgの溶出は、経過日数とともに多くなるが、溶出程度は培養液中のCl濃度が低いほど高まる傾向にあり、Clが22mg/Lでは2週間後でも40μg/L以下である(図1)。
3.
Agの溶出は、培養液中のCl濃度と負の相関関係が認められる(図2)。根腐病対策として必要とされるAg 40μg/Lの濃度を確保するには、培養液中のCl濃度が5mg/L以下で3日間、5~10mg/Lで7日間程度浸せきしておく必要がある。一方、Cl濃度が 20mg/L以上の場合は、本法の導入は困難である。
4.
Agの溶出は水温に影響され、Ag 40μg/Lを確保するのに必要な期間は、水温25℃以上で3日間、20℃で7日間、15℃で10日間以上である(図3)。

成果の活用面・留意点 1.
水質のCl濃度を簡易に測定するには、市販の測定キットを利用する。
2.
本法を適用する場合の望ましい原水水質は、Cl濃度が10mg/L以下であり、これ以上の場合はCl濃度が低い雨水等で希釈する必要がある。
3.
殺菌に有効なAg濃度を確保するため、培養液循環前に必要な時間銀資材を投入しておく。
4.
銀めっき資材からのAgの溶出は、培養液中のCl濃度と水温に影響されるため、塩素系殺菌剤使用後は水洗を十分行う必要がある。
5.
資材と培養液との接触面積を確保するため、資材は折りたたまないで培養液タンク内に投入する。
図表1 218183-1.gif
図表2 218183-2.gif
図表3 218183-3.gif
カテゴリ 病害虫 水耕栽培 トマト 根腐病 防除 養液栽培

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