タイトル | 低アミロースの水稲新品種候補「越南190号」の育成 |
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担当機関 | 福井農試 |
研究期間 | 1993~2005 |
研究担当者 |
冨田桂 堀内久満 寺田和弘 神田謹爾 田野井真 小林麻子 田中勲 見延敏幸 古田秀雄 山本明志 篠山治恵 青木研一 正木伸武 南忠員 杉本明夫 鹿子嶋力 堀内謙一 |
発行年度 | 2005 |
要約 | 「越南190号」は寒冷地南部では中生の早に属し、「ミルキークイーン」より倒伏に強く多収の低アミロース系統である。米飯は粘りが強く、冷めても柔かさが維持され良食味である。また、食味の劣る米にブレンドすることで、その食味を向上させることができる。 |
キーワード | イネ、低アミロース、多収 |
背景・ねらい | 低アミロース品種である「ミルキークイーン」は、その米飯が極めて柔かく、粘りが強く、良食味である。また、加工米飯、おにぎり、米菓等の各種用途に適するほか、食味の劣る米にブレンドすることで、その食味を向上させる利用法もある。しかし、同品種は「コシヒカリ」並に長稈で倒伏しやすく、栽培しにくい欠点を持っている。このため、「ミルキークイーン」の優れた食味特性を残しながら、その栽培特性の改良を図った。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「越南190号」は、1993年に晩生、多収、強稈の「越南148号」を母とし、低アミロースで中生の「関東168号」(後の「ミルキークイーン」)を父として福井県農業試験場 で人工交配を行った組合せ後代から育成された低アミロース系統である。 2. 出穂期、成熟期は「コシヒカリ」とほぼ同じで、育成地では中生の早に属する(表1)。 3. 稈長は「コシヒカリ」より10cm程度低い。穂長は「コシヒカリ」よりやや短く、穂数は同程度の中間型である。耐倒伏性は「コシヒカリ」、「ミルキークイーン」より強い、“中” である(表1)。 4. 収量性は「コシヒカリ」、「ミルキークイーン」に比べ高い(表1)。 5. いもち病真性抵抗性遺伝子型はPita-2と推定され、葉いもち、穂いもち圃場抵抗性は共に“やや弱”である。白葉枯病抵抗性は“中”、穂発芽性は“難”、障害型耐冷性は“やや弱 ”である(表1)。 6. 玄米の白濁度は「ミルキークイーン」と同程度で、白米のアミロース含量は「コシヒカリ」のほぼ半分で、「ミルキークイーン」と同程度である(表1)。 7. 米飯は柔かく、粘りが強く良好である。特に冷飯の食味では、「コシヒカリ」よりも優れる。食味の劣る米にブレンドすることで、その食味を向上させることができる(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 適応地域は北陸・関東以西の地域である。 2. 鳥取県で栽培予定。 3. 変異菌が出現するといもち病に侵されるので、その発生に注意し、発病を認めたら適期に防除を行う。 4. 耐冷性がやや弱いので、冷害の発生が見込まれる地帯での栽培は行わない。 5. 耐倒伏性は「中」程度なので、多肥栽培は避ける。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 いもち病 加工 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 凍害 品種 防除 良食味 |