タイトル | 現地農家圃場における玄米中カドミウム濃度の変動範囲を簡易に推定する方法 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 | 2005~2006 |
研究担当者 |
中島秀治 関口哲生 小原洋 新良力也 |
発行年度 | 2005 |
キーワード | カドミウム濃度、玄米、水田土壌、リスク評価 |
背景・ねらい | 玄米中カドミウム濃度の規制値が、CODEX委員会で論議され、また、鉱山・工場廃水などの影響がないとされる地帯からもCd濃度0.4 mg kg-1以上の玄米が産出される現実があり、営農指導現場では、予め高濃度玄米が生産される可能性のある水田圃場を特定し出穂期前後の湛水管理などの対策をとる必要がある。玄米中カドミウム濃度は土壌中のカドミウム量と必ずしも対応せずに、栽培期間中の水管理の影響を大きく受ける。そこで、営農現場で容易に実施できるポット栽培により、圃場で産出される玄米中カドミウム濃度の変動範囲を推定する方法を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 水田圃場より供試土壌を採土し風乾状態とし、約1cm篩を通した後、2Lペットボトルを肩より上部を切除した容器に1.5-2L詰める。容器に詰めた供試土壌を2グループ作製し、1グループは常時湛水状態にして、他の1グループは活着期から落水した畑状態にして水稲を栽培する。常時湛水状態で収穫した玄米中カドミウム濃度を圃場における玄米中カドミウム濃度の変動範囲の下限値、落水畑状態で収穫した玄米中カドミウム濃度を上限値と推定する。 2. 容器として入手が容易な飲料水用2Lペットボトルを用いても、常時湛水状態および落水畑状態で栽培して得られる玄米中カドミウム濃度は、土壌の種類により高低差異が認められる(表1)。 3. 現地圃場では年次により玄米中カドミウム濃度が大きく変動する(図1)。圃場整備が実施された現地でも、圃場整備前後の土壌を用いた容器栽培法によるカドミウム濃度の推定範囲により、圃場における玄米中カドミウム濃度の変動範囲を推定できる(図1)。 4. 農家、営農指導員にペットボトルを用いた常時湛水状態及び落水畑状態での水稲栽培を依頼し、現地圃場で生産される玄米中カドミウム濃度の変動幅を推定した(表2)。さまざまな土壌種の現地調査圃においても、最低濃度は推定した変動幅の下限値(常時湛水状態の濃度)に近く、一方、最高濃度は、推定した上限値(落水畑状態の濃度)に近い場合が多くなり、近似しない場合も大きく超えることはない。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 提案する栽培法をペットボトル等の容易に入手可能な容器で実施すれば、カドミウム濃度の高い 玄米が生産される可能性のある水田圃場を生産者自身が特定することができる。 2. 同様に、玄米中カドミウム濃度を低くするために水管理が重要であることの認識が深まる。 3. 客土、土壌改良が実施されている圃場の場合には、作土のみを供試すると圃場の玄米中濃度を低 く推定する場合があり、作土層以深の土壌も供試する必要がある。 4. 供試土壌の採取方法は、通常の土壌診断の採取法を準用し、圃場内数カ所から土壌を採取し混合 して供試する。 5. 容器栽培に用いる水稲品種は圃場のものと同じにする。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | 水田 水稲 土壌改良 土壌診断 品種 水管理 |