タイトル |
水稲の刈取り適期の推定 |
担当機関 |
福井農試 |
研究期間 |
2001~2006 |
研究担当者 |
中嶋英裕
北倉芳忠
佐藤 勉
山本浩二
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発行年度 |
2006 |
要約 |
近年の生育期間の高温により、刈取り適期推定のための出穂後積算気温は従来値と異なり、ハナエチゼンで約880℃(従来955℃)、コシヒカリで約1030℃(従来990℃)となる。また、両品種とも籾水分が25%以下で胴割れ粒の発生が急増する。
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背景・ねらい |
福井県において、近年、生育期間の高温・乾燥等により登熟が急激に進み、従来の刈取り適期判定基準が適合せず、胴割れ粒の多発等が認められる。このため、出穂後の積算気温と籾水分、青籾残存率および立毛中の胴割れ粒発生状況を把握することで刈取り適期推定のための出穂後積算気温を見直し、今後の栽培管理手法の改善に資する。
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成果の内容・特徴 |
- ハナエチゼンでは登熟期間の気温が高くなったため、籾水分が25%以下となる刈取り適期までの登熟日数が33日(従来37日)と早まり、出穂から刈取り適期までの積算気温が約880℃(従来955℃)となる(表1)
- コシヒカリでは出穂期と成熟期がともに早まり、登熟期間の気温が高くなったため、従来に比べ積算気温は1030℃(従来990℃)と高くなるが、登熟期間は38日(従来38日)と変わらない(表1)。
- 籾水分がハナエチゼンでは25%、コシヒカリでは27%より低下すると立毛での胴割れ粒の発生が認められ、両品種とも籾水分25%以下で急増する(図1)。
- 籾水分の推移は降雨や湿度などの影響によりばらつきはあるが、ハナエチゼン、コシヒカリとも1日平均約0.5~0.6%低下する(図1、2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 刈取り適期把握の手順は、まず出穂期を正確に把握して積算気温による予測を行い、次に予測日の10日前から圃場の中庸な数株を株上げによりサンプリングし籾水分、青籾残存率を調査して補正、5日前からは胴割れ粒率についても調査する(図3)。
- 籾水分25%以上の高水分籾の乾燥調製では品質、食味が低下する恐れがあるが、胴割れ粒は急激な乾燥により急増するため、気象により多発の恐れがある場合は乾燥調製に留意し、速やかに刈り取る。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
栽培技術
水稲
品種
良食味
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