タイトル | 黒毛和種雌子牛に適した人工哺乳方法 |
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担当機関 | 愛知農総試 |
研究期間 | 2003~2007 |
研究担当者 |
森下忠 瀧澤秀明 榊原隆夫 |
発行年度 | 2006 |
要約 | 黒毛和種雌子牛を人工哺乳する場合、哺育前期に哺乳量を段階的に増やすことで、自然哺乳と同等の発育となる。人工哺乳中の濃厚飼料摂取量は6週齢まで哺乳量に関係なく、6週齢以降は哺乳量を減量することで固形飼料へスムーズに切り替えられる。 |
キーワード | 家畜、ウシ、肉用牛、黒毛和種、子牛、人工哺乳 |
背景・ねらい | 近年、乳牛の借り腹による受精卵移植や、和牛繁殖農家での早期離乳技術の導入により、人工哺乳される黒毛和種産子が増えている。そのため我々は、雄子牛の人工哺乳について、哺育前期に哺乳量を段階的に増加させることで、自然哺乳産子と同等の発育となる技術を確立した。しかし、雌子牛は雄に比べ体格が小さく、雄と同様の方法では初期発育が劣る。そこで今回は、雌子牛に適した人工哺乳方法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 人工授精あるいは受精卵移植により生産された黒毛和種雌子牛16頭を自然哺乳※(5か月間母子同居、6頭)、定量哺乳※(人工哺乳により代用乳300g×2回/日を定量給与、4頭)、多給哺乳※(表1のとおり人工哺乳、6頭)した場合の12週齢までの発育及び飼料摂取状況を図1~3に示す。 ※自然哺乳区は子牛用の隔柵を設け母牛の飼料と分離して子牛用飼料を給与し、定量哺乳区及び多給哺乳区では単飼により管理する。多給哺乳区では、雄に比べ最大哺乳期間を1週間長く設定する。 2. 多給哺乳区は、8週齢時までは自然哺乳区と同等の体重増加や体高の伸びを示す(図1、2)。また、定量哺乳区に比べ生後4~6週間の発育が優れている。 3. 人工哺乳期間中の黒毛和種雌子牛では、濃厚飼料を摂取し始める時期は哺乳量に関係なく概ね4週齢頃で、6週齢まで差がない(図3)。6週齢以降の摂取量は哺乳方法により差があり、哺乳量を6週齢以降減量する多給哺乳が定量哺乳に比べて多く、液状飼料から固形飼料へスムーズに切り替えられる。そのため、離乳時期の目安を濃厚飼料の摂取量で700gを3日間とした場合、定量哺乳区で70日、多給哺乳区で56.7日となり、その間の代用乳給与量は定量哺乳区で38kg、多給哺乳区で40kgとなる。 4. 12週齢までの下痢の発生回数は、定量哺乳区でのべ8頭、多給哺乳区で4頭であり、哺乳量に関係しない。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 黒毛和種雌子牛の発育に合わせて適切な量を哺乳することで、1頭あたりの代用乳消費量を増やさずに初期発育の改善が図られる。 2. 多給哺乳時には下痢の発生に注意する。とくに集団哺育システム(哺乳ロボット)への応用では、下痢の原因の診断に留意する。 3. 人工哺乳子牛の発育改善のためには、8週齢以降の飼養管理方法についても、別途検討する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 飼育技術 受精卵移植 肉牛 乳牛 繁殖性改善 ロボット |