活性汚泥浄化槽による豚舎汚水と脱臭廃液の同時処理技術の開発

タイトル 活性汚泥浄化槽による豚舎汚水と脱臭廃液の同時処理技術の開発
担当機関 神奈川畜技セ
研究期間 2003~2005
研究担当者 田邊眞
川村英輔
加藤博美
齋藤直美
青木稔
代永道裕(畜草研)
柿市徳英(日獣大)
発行年度 2006
要約 豚舎汚水を浄化する活性汚泥浄化槽で微生物脱臭装置の脱臭廃液を処理するためには、脱臭廃液を曝気して一部硝化を進めると浄化機能への悪影響を軽減できる。浄化槽の負荷がBOD容積負荷0.40kg/m3・日、窒素容積負荷0.15kg/m3・日、BOD/N比2.64の場合では、BOD除去率92%と浄化機能を低下させることなく脱臭廃液を処理できる。
キーワード ブタ、家畜ふん尿、豚舎汚水、微生物脱臭、脱臭廃液、活性汚泥浄化槽
背景・ねらい 畜産経営に係わる苦情の約7割が悪臭関連である。しかし、畜産農家において、脱臭施設は経済性や維持管理上の問題から十分に普及していない。そこで、当所では簡易な微生物脱臭装置を開発したが、高濃度の窒素成分を含む脱臭廃液が生じ、その処理に苦慮している。神奈川県内の畜産農家では、畜舎汚水を処理する家畜用浄化槽が普及していることから、堆肥化施設の排気を簡易な微生物脱臭装置で脱臭し、脱臭廃液を活性汚泥浄化槽で処理するという、豚舎汚水と脱臭廃液の同時処理技術を実証する。
成果の内容・特徴
  1. 豚舎汚水と脱臭廃液の同時処理技術は、(1)密閉型堆肥化装置排気中のアンモニアを中心とした臭気を、脱臭液をシャワーリングする微生物脱臭装置で脱臭する、(2)曝気して一部硝化した脱臭液を、豚舎汚水を処理する浄化槽に投入し処理する、(3)浄化槽処理水の一部を微生物脱臭装置の脱臭液に利用する、というシステムである(図1)。
  2. 発酵槽容積8.8m3の縦型密閉型堆肥化装置、気液接触槽17m3と脱臭液槽16m3からなる微生物脱臭装置及び曝気槽12m3で放流水量4m3の回分式活性汚泥浄化槽からなる肥育豚120頭規模のミニプラントで実証する。
  3. 微生物脱臭装置のアンモニア除去率は、脱臭液の滞留日数が10日でアンモニア負荷が15.4~45.9g/m3・日の場合、94.3~99.7%である。脱臭液はアンモニアを捕捉して窒素成分が高濃度となるが、全窒素濃度が6000mg/Lを超えると脱臭性能が低下する。
  4. 脱臭液を浄化槽に投入すると高窒素負荷となり浄化機能が低下するが、脱臭液を曝気しアンモニア性窒素と硝酸性窒素を1:1の割合まで硝化すると影響を軽減できる。
  5. 脱臭液を1~2m3を浄化槽に投入し、同量の放流水を脱臭液に戻すという同時処理では、浄化槽を窒素容積負荷0.15kg/m3・日、BOD/N比2.64の負荷条件で運転すると、BOD除去率92%、COD除去率85%と浄化機能を低下させずに脱臭廃液を処理できる(表1)。
  6. 脱臭液の処理量を増やして、窒素容積負荷0.11kg/m3・日、BOD/N比1.66にしたところ、BOD除去率90%、COD除去率72%、SS除去率71%と浄化機能が低下する。
  7. 肥育豚1,000頭規模の農場にこの同時処理システムを導入する場合、浄化槽の運転条件がBOD容積負荷0.3kg/m3・日、窒素容積負荷0.12kg/m3・日、BOD/N比2.65で、畜舎汚水のBOD/N比が4.0以上の場合に、脱臭廃液の全量を同時処理することが可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 畜産農家に設置された活性汚泥浄化槽で脱臭廃液の処理が可能となるので、簡易な微生物脱臭装置を設置することで堆肥化装置の臭気対策を低コストで進めることができる。
  2. 豚舎汚水は、飼養状況や天候などにより汚水中の汚濁物質の量が変動するので、同時処理を行うにあたっては浄化槽の負荷条件の把握や綿密な運転管理が必要である。
図表1 218300-1.gif
図表2 218300-2.gif
カテゴリ 経営管理 低コスト

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