タイトル | 気象予報を用いたニホンナシの生育予測プログラム |
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担当機関 | 栃木農試 |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
大谷義夫 |
発行年度 | 2006 |
要約 | ニホンナシ「幸水」、「豊水」、「にっこり」の開花期、収穫期、果実肥大、「豊水」のみつ症・す入りの予測プログラムを開発した。このプログラムは、気象予報を用いることで精度良く早期に生育を予測することができる。 |
キーワード | ニホンナシ、生育予測、開花期、収穫期、果実肥大、果実生理障害 |
背景・ねらい | 近年の異常気象は、ニホンナシの開花期、収穫期、果実肥大を平年より極端に変動させる等、樹体生育に大きな影響を及ぼしている。このため、安定生産のためには高精度に生育を予測できる技術開発が必要となっている。そこで、生育を的確に予測するため、異常気象にも対応できるニホンナシ「幸水」、「豊水」、「にっこり」の生育予測プログラムを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 生育予測プログラム(図1)は本県の生育診断ほ10カ所において、過去10年間(農試は20年間)の生育状況と気象データ(アメダス値)により作成し、予測日までのアメダスデータ(開花期は9月1日以降の毎時の気温、収穫期は満開日以降の毎日の平均気温、果実肥大は予測日以降の全天日射量および日照時間、果実生理障害は満開日以降の毎日の平均気温)および気象予報(1か月、3か月予報)を代入することで、ニホンナシの生育を予測できるプログラムである。 2. 開花日は、2つの発育ステージを表す式(自発休眠期:DVI1 =ΣDVR1 、DVI1は自発休眠期の発育ステージ、DVR1は自発休眠期の発育速度、他発休眠期:DVI2 =ΣDVR2 、DVI2は他発休眠期の発育ステージ、DVR2は他発休眠期の発育速度)により予測できる(表1)。 3. 収穫期の予測は、 y=ax1+bx2+c(x1:満開後の平均気温、x2:収穫前の平均気温)重回帰式で示され、「幸水」、「豊水」では満開日から38日間、「にっこり」は42日間の平均気温により予測でき、収穫予定日前(豊水:収穫始70~41日前、にっこり:満開後141~160日)の平均気温を加えることでさらに精度は高まる(表2)。 4. 果実肥大は、細胞分裂停止期の果実体積と予測日以降の全天日射量を使用することで予測が可能で、式1により果実体積を予測でき、しかも猛暑および冷夏の年にも精度が高い(表3)。 5. 「豊水」のみつ症およびす入りは,満開日から38日間の平均気温(X1)および収穫前60~41日の平均気温(X2)を使用した重回帰式(式2)で発生程度を予測でき、特にX2の気温が低いほど発生が多い(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 実施場所、品種を問わずプログラムの開発は可能である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 生育予測 生理障害 品種 |