タイトル | 間欠給肥と底面給液容器によるバラ養液栽培の排出肥料削減技術 |
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担当機関 | 静岡農試 |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
貫井秀樹 高田久美子 佐藤展之 山﨑完治 寺田吉徳 嶋本久二(株プランツ) |
発行年度 | 2006 |
要約 | バラの養液栽培における排出肥料削減技術として、間欠給肥法と底面給液を組み合わせた栽培システムを開発した。この技術により、バラの収量は従来のロックウールかけ流し式と同程度で、投入肥料は66%削減、排出チッ素成分は45%削減することができる。 |
キーワード | バラ、養液栽培、間欠給肥、底面給液、肥料削減、環境負荷軽減 |
背景・ねらい | 静岡県のバラ切花栽培の45%は養液栽培で、ほとんどがロックウールかけ流し式であり、余った肥料はそのまま河川等に排出されている。ここでは、肥料と水とを分けて与える間欠給肥法と、底面給液容器を組み合わせたシステムで、投入肥料量と、排出する肥料成分を大幅に削減し、かけ流し式と同程度の収量が可能なシステムを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 栽培容器は、容量35Lの培地部・11Lの貯水部があり、バラ10株を定植する(図1)。給液された養液は、容器の下部に溜まり、底面給液で作物に利用される。給液は液肥を継続的に与えるのではなく、液肥を与える回数を削減し、代わりに水のみを与えることで(間欠給肥法 図2)、容器内に溜まった肥料濃度を薄くすることができ、与える肥料量と排出肥料成分を削減できる。容器には側面に排水口があるため、過湿状態となることはない。 2. 養液組成は、かけ流し処方NO3-N:12.0,P:3.5,K:4.5,Ca:7.5,Mg:2.0(me/L)、EC1.6を用いる。微量要素は、Fe:3ppm、Mn:0.5ppm、B:0.3ppm、Cu:0.04ppm、Zn:0.1ppm、Mo:0.02ppmの濃度を標準とする。 3. 肥料と水を間欠に与える間欠給肥法と、底面給液容器を用いたバラ養液栽培の1年間の収量・品質は、連続給肥法及び、慣行のロックウールかけ流し式と同等である(表1)。 4. 間欠給肥法は、連続給肥に比較して、排出チッ素成分の約45%削減できる(表1)。また、かん水時に、水のみを与えるよりは、微量要素を加えることで収穫本数・切り花総重量が増加する(表2)。切花の日持ち日数には、影響を与えない(データ省略)。 5. 液肥の回数を削減することで、肥料使用量が慣行に対して約66%削減でき、肥料コストが削減できる。 6. 栽培容器は独立しているため、養液伝染性の病気は当該容器だけで済む。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 培地はフェノール樹脂を用い、給液はタイマー制御の点滴かん水で、排液率約30%で行った。温室内で、冬期最低夜温17℃で栽培した結果である。 2. 肥料濃度を従来の1/3濃度にした場合でも、慣行と同等の収量が得られるが、葉の黄化が増加する(表1)。 3. 栽培ベッド、培地、給液コントローラ等を含めた、間欠給肥システムの新規導入価格は、約600万円/10aである。肥料費は、年間約6,600円/10a削減できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 コスト 栽培技術 ばら 養液栽培 |