切り花キクの萎れや導管閉塞に関与する細菌の同定と萎れを抑制するファージの利用技術

タイトル 切り花キクの萎れや導管閉塞に関与する細菌の同定と萎れを抑制するファージの利用技術
担当機関 福井農試
研究期間 2004~2006
研究担当者 古河 衞
発行年度 2006
要約 切り花キクの萎れや導管閉塞には数種類の細菌が関与しておりPantoea dispersa菌の影響が大きい。キク圃場から分離したこの菌に溶菌作用を示すファージを前処理剤的に高濃度で浸漬処理すると、萎れと切り花重の低下を抑制する。
キーワード 切り花、キク、導管閉塞、ファージ
背景・ねらい 切り花の有利販売には日持ちの優れたものの出荷が重要で、日持ちの向上のために多くの品質保持剤が使用されている。しかし、市販されている品質保持剤は金属塩や殺菌剤等が含まれているため、環境にやさしい品質保持剤の開発が望まれている。切り花の萎れの主因は導管内で増殖した細菌による吸水不良と考えられている。そこで導管閉塞を引き起こす細菌の同定とファージを用いた萎れ抑制効果について検討する。

成果の内容・特徴 1.
萎れた切り花キクの茎基部からはPantoea属菌、Enterobacter属菌、Klebsiella属菌などいわゆる汚水菌が多く分離される(表1)。
2.
萎れた切り花キクの茎基部から多く分離されるEnterobacter属菌とPantoea属菌の中では、Pantoea dispersa菌により短期間に萎れが引き起こされる(表2)。
3.
切り花キクに Pantoea dispersa菌を溶菌するファージ(キク栽培圃場から分離)の調製液(107pfu/ml以上)を前処理剤的に浸漬処理すると萎れは抑制される(表3、図3)。
4.
ファージ液処理により切り花キクの吸水量の低下が抑制され、また、切り花重の低下も抑制される(表4、図2)。
5.
このファージは電顕観察から繊維状ファージと考えられる(図1)。

成果の活用面・留意点 1.
ファージを生け水に混入するだけでは抑制効果はない。
2.
調製したファージ液は4℃の冷蔵庫内で少なくとも2か月間は活性を失うことはない。

図表1 218360-1.jpg
図表2 218360-2.jpg
図表3 218360-3.gif
図表4 218360-4.gif
図表5 218360-5.gif
図表6 218360-6.gif
図表7 218360-7.gif
カテゴリ きく 出荷調整 品質保持

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