斑点病抵抗性オオバ新品種「愛経1号」(仮称)の育成

タイトル 斑点病抵抗性オオバ新品種「愛経1号」(仮称)の育成
担当機関 愛知農総試
研究期間 1998~2006
研究担当者 黒柳智勝(愛知経済連)
小久保智(愛知経済連)
菅原眞治
滝元信夫(愛知経済連)
番喜宏
兵藤肇(愛知経済連)
矢部和則
発行年度 2006
要約 斑点病抵抗性オオバ新品種「愛経1号」は、オオバの周年生産において、高温多湿時に多発しやすい斑点病の抵抗性を有するとともに、夏季でも葉形がハート型を呈し乱れず、現地栽培系統と同等の高い香りを持つ等の優れた形質を有する。
キーワード オオバ、シソ、斑点病、病害抵抗性、新品種、愛経1号
背景・ねらい 愛知県のオオバは、全国シェア60%余りをしめる代表的な特産品である。現地系統は、生産者団体の長年にわたる選抜により、葉形がハート型を呈し、芳香が強く品質は高いが、病害抵抗性に関する選抜は行われておらず、夏季の高温多湿時に多発する斑点病に弱い。また、現地系統は、夏季の葉形がオオバらしいハート型にならず、基部が鈍形の葉の割合が高まる傾向がある。そこで、シソ斑点病に強く、夏場の葉形変異の少なく、香り等の品質は現地系統と同等の高いレベルのオオバ品種の育成をめざす。

成果の内容・特徴 1.
育成経過
1998年に市販品種等63系統の中から、斑点病抵抗性素材として「青縮緬紫蘇」((株)アサヒ農園)を選定した。1999年10月に現地系統と交配を行い、2001年に450個体のF2から、草姿及び葉の形状に優れ、斑点病抵抗性が強く、ペリルアルデヒド含量の高い3系統を選抜した。2002年から2004年度にかけて、生産者ほ場にて優良系統の選抜固定を進め、有望なF4系統(99‐146‐220‐439)を得た。この系統のF5(愛経1号)について、2005年3月から現地適応性試験を実施した結果、育種目標を達成していると判断し、2006年に品種登録の出願を行った(図1)。
2.
「愛経1号」の特性
1)
斑点病菌(Corynespora cassiicola)に対する抵抗性が高い。分生子接種による「愛経1号」の葉の斑点形成数は、現地系統の3割程度である(図2)。
2)
アオジソ芳香の主成分ペリルアルデヒドの含量は、現地系統と同程度に高い(図3)。
3)
現地系統と比較して葉のちりめん(波うち)が若干強いが、夏季にはハート型の葉形と適度な縮緬があり、1年を通じて葉形の変異はない(図1)。
4)
葉幅/葉身、きょ歯数及び分枝数は現地系統と差が無く、葉の形態的特性及び収量性は現地系統とほぼ同じである(表1)。
5)
現地系統に比べて、低温管理時に問題となる葉裏の赤みが少なく、冬期に暖房温度を2~3℃下げた省エネルギー栽培が可能である。
6)
斑点病抵抗性が高い以外に、現地系統と比較して、抽苔が約1週間遅い、花穂の長さが短い等の区別性がある。

成果の活用面・留意点 1.
全面マルチなどの耕種的防除を併用すると、斑点病の被害をほぼ抑えることができる。
2.
草勢が強いとちりめん(葉の波うち)が大きくなる傾向があるため、生育初期などに収穫間隔を長くしないように注意する。
3.
種子の配布元は、愛知経済連である。当面、愛知県内での普及を行う。

図表1 218365-1.jpg
図表2 218365-2.gif
図表3 218365-3.gif
図表4 218365-4.gif
カテゴリ 病害虫 育種 しそ 省エネ・低コスト化 新品種 抵抗性 病害抵抗性 品種 防除

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