タイトル | 養液土耕と熱水土壌消毒を用いたイチゴの不耕起栽培法 |
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担当機関 | 茨城農総セ園研 |
研究期間 | 2000~2005 |
研究担当者 |
安東赫 金子賢一 鈴木雅人 |
発行年度 | 2006 |
要約 | イチゴの不耕起栽培では、養液土耕法と熱水土壌消毒法を用いることにより、とくに有機物や土壌改良資材を施用しなくても、長期間安定的に慣行耕起栽培と同等の生育・収量を維持することができる。 |
キーワード | イチゴ、不耕起栽培、養液土耕法、熱水土壌消毒法、潅水、施肥 |
背景・ねらい | 不耕起栽培は省力的な技術として注目されるようになってきており、とくに畝上げや畝崩し作業に多くの労力を要するイチゴではメリットが大きいと考えられる。しかし、施肥管理や土壌消毒等の問題から、一般に普及する段階には至っていない。そこで、養液土耕法と熱水土壌消毒法を組み合わせることによって、より省力的で、長期間にわたって安定的な栽培が可能なイチゴ不耕起栽培技術を構築する。 |
成果の内容・特徴 | 1. イチゴの不耕起栽培では、初年目は通常の畝立てを行い、養液土耕による施肥管理によって栽培し、2年目から不耕起として、数年間連続して作付けする。栽培の残株は株元で切断して廃棄し、株間に次作の苗を植え付ける。養液土耕の点滴チューブをそのまま利用し、必要に応じて熱水土壌消毒を行う。 2. 給液量が多いほど収量は多くなるが、養液土耕専用肥料(N成分含有率15%)の希釈倍率を1000~1200倍とすると70ml/日・株程度の給液量で、必要な肥料成分を施用することができ、標準的な収量が得られる(表1)。 3. 熱水土壌消毒によってセンチュウ類の発生が抑えられ、イチゴの生育・収量は著しく向上する(表2)。 4. 4作終了後の畝の深さ11~12cmまでは貫入抵抗値に差がなく、とくに土壌の硬化は認められない(図1)。 5. 5年間継続した不耕起栽培の収量は慣行の耕起栽培と、ほぼ同等である(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 熱水土壌消毒には養液土耕の点滴チューブを併用する。熱水土壌消毒の効果は1年なので、毎年処理を行う。 2. ポット苗は前作のイチゴの根が残っていて植えにくいので、根鉢の小さい、セル成型苗等を利用すると定植作業は容易である。 3. 栽培終了後ハウス被覆を除去すると、雨によって畝が崩れる恐れがあるので、周年被覆下栽培とするのが望ましい。 4. 標準的な火山灰土壌畑を前提とした技術であり、土壌条件によって、とくに地下水位の影響を考慮して給液量を設定する必要がある。 5. 不耕起の継続期間は4~5年を目安とし、点滴チューブの更新及び必要に応じて土壌改良を行う。 6. 設備費としては、30a規模の養液土耕システムが約180万円、性能が75℃温湯吐出量7~8L/分の熱水土壌消毒機が約30万円である。熱水土壌消毒機の燃料は床面積1m2当たり灯油約1L必要で、10a当たりの燃料代は約7万円になる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 いちご 栽培技術 施肥 土壌改良 土壌消毒 不耕起栽培 |