東京都育成香りシクラメン「さわや香ミディ」、「おだや香」の品種特性

タイトル 東京都育成香りシクラメン「さわや香ミディ」、「おだや香」の品種特性
担当機関 東京農総研
研究期間 1999~2005
研究担当者 吉岡孝行(東京農総研)
小林剛(高砂香料)
野原功
澁澤直恵
発行年度 2006
要約 シクラメン栽培品種と芳香性原種Cyclamen purpurascensとの種間雑種作出により新たに育成した品種は、甘さのある芳香性を保有する。育成品種はピンク系と赤紫系の2品種で、ともに中輪タイプであり、開花開始時期が早く開花期間が長い特性をもつ。
背景・ねらい 東京都の主要鉢花であるシクラメンは、直売が主体であり、生産者の温室を訪れる顧客は新しい品種を求める傾向がある。一方、シクラメンは、大型化、花色の多様化へと育種が進む過程で、多くの品種が香りを失ってきた。そのため芳香性品種の種類は少なく、新品種の育成が要望されている。そこで芳香性原種と栽培品種との種間雑種を作出することにより、良い香りのシクラメンを育成する。

成果の内容・特徴 1.
シクラメン栽培品種と芳香性原種Cyclamen purpurascensを交配し、ショ糖6%を添加したMS培地で胚珠培養を行った。得られた種間雑種を選抜することにより香りシクラメン2品種「さわや香ミディ」(交配親は「シューベルト」)、「おだや香」(交配親は「あけぼの」)を育成した(図1)。
2.
両育成品種にはC.purpurascensがもつ多様な香気成分が導入されており、甘さのある香気成分であるジヒドロファルネソールやファルネソールを豊富に含むことにより、甘い香りを保有している。他の主要香気成分との配合比により、「さわや香ミディ」は「柑橘系の果物とバラ」様の香気、「おだや香」は「甘いバラ」様の香気を発散する(表1)。
3.
両育成品種とも中輪系で、花弁は細弁タイプである。花色は「さわや香ミディ」はピンク色、「おだや香」は赤紫色である。「さわや香ミディ」の葉では、辺縁部にのみハート型に斑が現れる(表2)。
4.
両育成品種とも従来品種よりも開花開始が早く、10月初旬に開花が認められる。開花期間も長い。「さわや香ミディ」では11月初旬から春まで開花数はほぼ一定数で推移する。「おだや香」は、11月に多く咲き、その後開花数は減少するが、2月以降再度増加し、その後、春まで開花数は増加し続ける。春は、従来品種と比較して開花数は多い(図2)。
5.
両育成系統ともBA1.0mg/L、NAA0.1 mg/Lを添加した1/3MS培地での葉片培養による増殖が可能で、不定芽形成率は「さわや香ミディ」が96%、「おだや香」が88%といずれも高い。

成果の活用面・留意点 1.
「さわや香ミディ」および「おだや香」 は、種苗法に基づく品種登録の出願を行った。
2.
培養苗を供給し、2005年度から都内シクラメン生産者による栽培、直販を行っている。

図表1 218403-1.jpg
図表2 218403-2.gif
図表3 218403-3.gif
図表4 218403-4.gif
カテゴリ 育種 シクラメン 新品種 ばら 品種

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