タイトル | 煮沸浸出法による畑土壌の可給態窒素の迅速推定 |
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担当機関 | 千葉農総研 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
八槇敦 |
発行年度 | 2006 |
要約 | 畑土壌を100℃で6時間煮沸浸出した溶液から有機態窒素含量を求める煮沸浸出法は、小型反射式光度計を利用して迅速に可給態窒素含量を推定できる。 |
背景・ねらい | 環境への負荷を低減するためには、土壌の窒素肥沃度に応じた施肥管理を進める必要がある。しかし、窒素肥沃度の指標となる可給態窒素含量は、4週間培養後に生成される窒素量であり、測定に長時間を要するために施肥設計に利用するには適していない。これまでに、リン酸緩衝液で浸出される有機態窒素含量による可給態窒素の推定法が提示されているが、黒ボク土では浸出液に濁りが生じるなど問題点がある。そこで、煮沸浸出される有機態窒素から可給態窒素を短時間に推定する方法を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 風乾した黒ボク土、褐色低地土及び褐色森林土の現地土壌1gを水50mlとともにポリビンに封入し、100℃の送風定温乾燥機で6時間煮沸する。得られた浸出液をペルオキソ試薬とともに耐圧性ガラスビンに封入し、送風定温乾燥機で120℃、3時間過熱して、有機態窒素をペルオキソ二硫酸カリウム分解する。生成した硝酸態窒素を常法(Cu・Cd還元ナフチルエチレンジアミン法)により定量し、分解前の硝酸態窒素含量を差し引いて有機態窒素含量とする。 2. 上記の方法で求めた土壌の有機態窒素含量と、培養法による可給態窒素含量(窒素無機化量)との間には、y=0.53x-0.13、R2=0.62の相関関係がある(図1)。 3. 家畜ふん堆肥等の有機物を多量に連用した土壌においても、有機態窒素含量と可給態窒素含量との間には、y=0.61x-1.66、R2=0.70の関係がある(図2)。 4. 現地土壌と有機物連用土壌を合わせた各種土壌における有機態窒素含量と可給態窒素含量との関係は、硝酸態窒素の定量に小型反射式光度計(RQフレックス)を用いると、常法より決定係数はやや低くなるが(y=0.51x-0.23、R2=0.54)、±3mg/100g程度の誤差で可給態窒素含量を推定できる(図3)。 5. 小型反射式光度計を用いたときの可給態窒素含量の推定手順は図4となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ペルオキソ二硫酸カリウム分解には、テフロンキャップ付きの耐圧性ガラスビン(バキュームバイアルビン)を用いる。 2. 浸出及び分解の温度と時間は厳守する。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 施肥 |