タイトル | ブロッコリー花蕾黒変症の発現にはカリの増施が関係する |
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担当機関 | 埼玉農総研水田農業 |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
鎌田淳 日高伸 |
発行年度 | 2006 |
要約 | カリの増施により、ブロッコリー各部位の無機成分、特にカルシウム、マグネシウム含有率が減少する。カリ増施はべと病の発生を助長することが示唆された。 |
キーワード | ブロッコリー、花蕾黒変症、べと病菌、カリの過剰施用 |
背景・ねらい | 平成14、15年に、埼玉県のブロッコリー産地では花蕾内部の黒変症状が散見された。これまで、花蕾黒変症の発生にはべと病菌の関与が報告されているが、その発生機作には不明な点が多い。一方、家畜糞堆肥等の多量施用が花蕾黒変症の発生を助長している可能性があるため、堆肥に含まれるカリの関与がこれまで示唆されてきた。そこで、カリ増施がべと病菌による花蕾黒変症の発生に及ぼす影響について検討した。 |
成果の内容・特徴 | 1. 花蕾黒変症の多発圃場では、土壌中のカリ、カルシウム及びマグネシウム含有量が発病少圃場に比べて約2倍高かった(表1)。 2. カリを増施したブロッコリーにべと病菌の分生胞子を散布すると、分枝部の細胞が褐変し、花蕾黒変症が発生した。しかし、慣行の施肥条件では、べと病菌を散布しても花蕾黒変症は発生しない(図1)。 3. ブロッコリー葉部の水分保持率は、慣行栽培に比べてカリ増施で高まり(図2)、葉組織における水分代謝機能の低下が示唆された。 4. カリ増施により、ブロッコリー各部位の無機成分含有率が低下した。特に、葉部のカルシウム及びマグネシウム含有率は低く、根部でも類似した傾向を示した(表2)。 5. カリを増施したブロッコリーにべと病菌の分生胞子を散布すると、花蕾周辺にある新葉の褐変が観察された(表3)。 6. 以上、ブロッコリーへのカリ増施は、無機成分含有率の低下や葉部組織の褐変をもたらし、ブロッコリー花蕾黒変症の発生を助長することが示唆された。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ブロッコリー花蕾黒変症はアントシアニンフリー系品種で発生しやすい。 2. 家畜糞堆肥の施用量は、圃場の土壌診断結果等をふまえて過剰な投入を避けること。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 施肥 土壌診断 品種 ブロッコリー |