シクラメンの用途に応じた日持ち特性と関係する栽培要因

タイトル シクラメンの用途に応じた日持ち特性と関係する栽培要因
担当機関 三重科技セ
研究期間 2004~2006
研究担当者 糀谷 斉
水谷 憲
発行年度 2007
要約 贈答用に適する購入時の外観が継続するシクラメンと、家庭用に適する花立ちが長く続くシクラメンでは、用土の種類や出荷前の温度管理、夏期遮光率などの栽培方法が異なる。このため、消費者に日持ちが良いと評価されるためには、用途に応じた生産方法を採用するか、栽培方法に応じた日持ちの特性を消費者に明示して販売する。
キーワード シクラメン、日持ち、栽培方法、数量化Ⅰ類
背景・ねらい 近年のシクラメン栽培においては、かん水方法、施肥方法、温度管理、培養土など、多様な栽培技術が開発されている。しかし、どのような栽培技術の組み合わせにより栽培されたシクラメンが、いかなる用途において日持ちが良くなるのかは明らかにされていない。そこで、栽培方法のわかる複数のシクラメンを同一条件下に置いて観賞期間を比較し、用途別の日持ちと栽培方法の関係を数量化Ⅰ類によって明らかにする。

成果の内容・特徴 1.
消費者は贈答用では購入時点の外観が継続する期間を、家庭用では観賞価値が完全に無くなるまでの期間を重視すると想定し、これらの期間を各用途における日持ち期間とする。分析では用途別に設定した日持ち期間と栽培方法の関係を解析する(図1)。
2.
日持ちに大きく影響した要因は、贈答用モデルでは用土の種類、出荷1ヶ月前の夜温設定、施肥方法等(表1)、家庭用モデルでは用土の種類、夏期の遮光率、出荷1ヶ月前の昼・夜温設定等(表2)である。一方、両モデルともハードニングや出荷置き肥の影響程度は相対的に低い。
3.
贈答用モデルにおける日持ちの良い栽培方法は、調整ピートを主体に配合した用土で、出荷1ヶ月前の夜温設定が15℃以下の低温管理より16~18℃の管理とする。また施肥方法は置き肥主体より底面給水を利用した液肥を主体とし、夏期の遮光率は51~60%の強遮光とする(表1)。
4.
家庭用モデルにおける日持ちの良い栽培方法は、用土の種類では調整ピートを主体にした用土よりピートモス、赤玉土、腐葉土等を主体にした用土を用いる。夏期の遮光率は低い方が良い。出荷1ヶ月前の温度設定は、昼温が12℃以下の極端な低温や19℃以上の高温管理を避けた13~18℃の設定で、また夜温は10~12℃の低温か16~18℃の高温管理である(表2)。
5.
日持ちに影響する栽培要因は、用土の種類、出荷1ヶ月前の温度設定、夏期遮光率などである。しかし、贈答用と家庭用を想定した日持ちに対しては、同じ影響要因でも個々の栽培方法が異なる。このため、消費者に日持ちが良いと評価されるためには、販売や出荷目的によって生産方法を使い分けるとともに、栽培方法に合わせた日持ちの特性を明示して販売することである。

成果の活用面・留意点 1.
シクラメン生産者が、消費者の用途に応じた日持ち特性を持つシクラメンを生産する場合に参考となる。
2.
贈答用・家庭用とした日持ちの定義は、分析のために作成したシナリオに基づくものである。
3.
本情報はシクラメンにとって好適な環境下で観賞した場合の結果であり、劣悪環境下では影響要因は異なる可能性がある。

図表1 218508-1.gif
図表2 218508-2.jpg
図表3 218508-3.gif
図表4 218508-4.gif
カテゴリ 温度管理 栽培技術 シクラメン 出荷調整 施肥

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