体細胞クローン受胎牛の末梢血中エストロンサルフェートの濃度推移と妊娠期間

タイトル 体細胞クローン受胎牛の末梢血中エストロンサルフェートの濃度推移と妊娠期間
担当機関 石川畜総セ
研究期間 2005~2007
研究担当者 常川久三(石川県農業政策課)
大橋愛美(石川県北部家保)
田中孝一
源野朗
北満夫
発行年度 2007
要約 体細胞クローン受胎牛の末梢血中エストロンサルフェート濃度は人工授精受胎牛に比べ低く推移し、妊娠中期以降、濃度上昇が遅れる傾向が認められる。体細胞クローン受胎牛は、胎子の成熟を図ることで分娩後の生後直死の減少と生存率の向上が図れる。
キーワード 体細胞クローン牛、エストロンサルフェート、在胎日数、生後直死、生存率
背景・ねらい 体細胞クローン受胎牛は、人工授精受胎牛や受精卵移植受胎牛に比べて流産の発生頻度が高く、出生産子では過大・産後直死が問題となっており、病理学的にも免疫不全、胎盤異常などの発生頻度が高いことが報告されている。通常、妊娠後期から分娩まで、胎子の発育に伴って、胎盤からのエスロジェン分泌が増加し、胎子の脳・副腎・肺が発達し分娩に至るが、体細胞クローン牛胎子は、胎盤機能が弱く、発達が遅延していることが知られている。
当センターでは、これまで妊期を全うした受胎牛は、分娩予定日の数日前から分娩誘起処置を行い分娩させていたが、羊水誤嚥や呼吸微弱など胎子の未熟による生後直死が多く、生存産子を効率よく得ることが出来ていない。
体細胞クローン牛胎子は、従来の分娩予定日に併せた分娩誘起処置では、胎子の成熟が不十分であると考えらることから、誘起分娩によらないで、胎子由来の分娩兆候が確認され、娩出を胎子の成熟まで待つとともに、その際の胎子の出生状況と胎盤機能を反映するとされるエストロンサルフェートの濃度推移について検討を行う。

成果の内容・特徴 1.
通常の妊娠期間にあわせて分娩誘起処置した場合の産子の生存率は38%であったが、分娩誘起処置を行わないで、娩出を胎子の成熟まで待った場合、生後直死は大幅に低減する(5/5生存)。
2.
在胎日数は、平均で302.8日となり、5頭中4頭で300日以上の長期在胎で、一番長いもので313日となる。また、分娩時体重は平均で42.8kgとなる(表1)。
3.
体細胞クローン受胎牛の末梢血中エストロンサルフェート濃度は、妊娠中期以降、人工授精受胎牛に比べ低く推移し、エストロンサルフェート濃度上昇が約3週間遅れる傾向が認められる。しかし、分娩日を基準とした場合、エストロンサルフェート濃度の上昇はほぼ一致する(図1、2)。
4.
体細胞クローン牛胎子の成熟を図ることで、生後直死が減少し生存率が向上する。

成果の活用面・留意点 1.
試験は、人工授精受胎牛(胎子:ホルスタイン)5頭、体細胞クローン受胎牛(胎子:黒毛和種)5頭の血漿を受胎確認後、分娩まで約1週間ごとに採血し用いる。
2.
体細胞クローン胚の作出には、ドナー細胞に卵管上皮細胞または胎子繊維芽細胞を用い、核移植方法については家畜改良センターのマニュアルに準じて行う。
3.
体細胞クローン受胎牛が黒毛和種の場合は、過大子による難産が予想されるため、分娩日予測後に帝王切開を行う。
4.
エストロンサルフェートの測定は、ラジオイムノアッセイにて分析を行う。

図表1 218545-1.gif
図表2 218545-2.gif
図表3 218545-3.gif
カテゴリ 受精卵移植

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