タイトル | ジベレリンの花穂伸長効果による「巨峰」「ピオーネ」の摘粒作業の省力化 |
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担当機関 | 山梨果樹試 |
研究期間 | 2000~2006 |
研究担当者 |
宇土幸伸 小林和司 齊藤典義 三森真里子 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 「巨峰」「ピオーネ」の無核栽培において、展葉5枚時の花穂にジベレリンを低濃度で散布すると花穂が伸長する。花穂伸長により、果粒の密度が低下し、摘粒作業時間が削減できる。 |
キーワード | 巨峰、ピオーネ、摘粒、省力、ジベレリン、花穂伸長 |
背景・ねらい | ブドウ栽培において摘粒は、高品質な果実を生産する上で必須な作業であるが、多大な労力を要する上に、作業時期は短期間に集中する。そのため、生産者にとって大きな負担となり、経営規模の拡大を阻害する一因となっている。そこで、開花前にジベレリンを散布し、花穂を伸長させ、着粒密度を低下させることで、摘粒作業時間を削減する方法について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「巨峰」「ピオーネ」の無核栽培において、展葉5枚時の花穂にジベレリン5ppmを散布すると、花穂伸長が促進され、花穂整形時には無散布(慣行)区の1.2~1.4倍の長さになる(図1、データ略)。 2. 摘粒前の果房は、無散布区と比較して着粒密度が低下し(表1)、ほとんど摘粒が必要ない果房も観察される。 3. 着粒密度の減少により、摘粒作業時間は「巨峰」で3~5割、「ピオーネ」で2~4割程度削減される(表2)。 4. 果粒の初期肥大は良好で、摘粒時期が遅れると果粒が密着し、摘粒作業時間が長くなる。そのため、摘粒時間の削減効果は少なくなる(表3)。 5. 本処理後、慣行の房づくりで栽培すると、果房がやや小さくなるが十分な商品性は確保できる(表4)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 動力噴霧機などを用い新梢全体にジベレリンを散布すると、翌年に結果母枝の不発芽などの障害が発生する。散布はハンドスプレーなどを用い、新梢に飛散しないよう、必ず花穂中心に行う。 2. ハンドスプレーによる散布に要する時間(使用液量)は、短梢せん定樹で約6時間(12L)/10a、長梢せん定樹で約12時間(18L)/10aである。 3. ハウス栽培での花穂伸長効果は明らかではないため、使用は露地の種なし栽培を前提とする。 4. 大房生産を目標に、房づくりを大きくすると摘粒作業の省力効果は減少する。 5. 花穂伸長を目的としたジベレリンの使用は、「巨峰系4倍体品種」で適用が拡大された。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
カテゴリ | 経営管理 省力化 品種 ぶどう |