タイトル | ニホンナシに対する1-メチルシクロプロペンの低コスト短時間処理方法 |
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担当機関 | 埼玉農総研セ園研 |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 |
島田智人 浅野聖子 須賀昭雄 藤生恵美子 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 500kg規模の「幸水」果実に対してポリエチレン製の大型角底袋を利用し、濃度1ppmの1-MCP5時間処理で、収穫後8日間以上鮮度を維持できる。空気中の水分により1-MCPガスが発生するリボンタイプのAF-2L剤でも十分な鮮度保持効果が得られる。 |
キーワード | ニホンナシ、鮮度保持、1-MCP、大規模処理、AF-2L |
背景・ねらい | ニホンナシ等に対する鮮度保持効果が明らかにされている1-メチルシクロプロペン剤(1-MCP)は、ガス状の物質であり、安定した濃度で曝露処理するするためには、気密性の高い空間に一定時間貯留する必要があるが、ニホンナシの場合そのような施設は無く、集荷された果実を大量に処理する方法が課題となる。そこで、低コストでしかも輸送中の処理が可能な方法として、大型のポリエチレン製袋を利用した短時間処理および、加水の必要の無い新剤型AF-2Lでの処理について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. ポリエチレン製角底袋(厚さ0.1mm、寸尺1.35×1.35×1.8m)を用いた500kg規模の「幸水」果実に対する1-MCP(AF-1、処理濃度1ppm)の室温下での5時間処理により(図1)、収穫後7日、13日目の表面色、食味熟度について、無処理区と比較して有意に鮮度を保ち、24時間処理区と比較して同程度の鮮度保持効果が得られる(表1)。 2. 袋の開口部は、市販の屋内電線配置用パッキング資材、結束資材(ビニル結束バンドを専用器具で縛る)を用いて、比較的簡便に閉口密閉作業ができる(図2)。 3. AF-2L剤(空気中の水分によって1-MCPガスが発生する付箋状の剤:1cm/1ppm/10L)を袋の容積分入れた処理によっても、8日以上の鮮度保持効果が得られる(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 1-MCP剤は登録申請中であり、現在使用はできない。 2. 大型袋処理するためのコストは、AF-1は3円/kg、AF-2Lは4円/kg程度で、ポリ袋(1.35×1.35×1.8m)は、1000枚単位で900円/枚(18円/ナシ10kg箱)程度、結束用資材は2625円(小売)である。 3. 高温(25~30℃程度)下でナシ果実を密封状態に置くと、呼吸により空間内の炭酸ガス濃度が上昇し、20時間程度の密封でも果肉障害を引き起こす可能性があるので、処理は冷涼な場所で短時間に行う、処理後は開封して通風する等の対策が必要である。 4. 1-MCP剤はAF-1は30分、AF-2Lは約1時間以内にガスの発生が終わるので、袋等の閉口密閉作業はできるだけ早く行う。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 果肉障害 コスト 低コスト 輸送 良食味 |