ウメの土壌改良および局所施肥による環境負荷軽減効果

タイトル ウメの土壌改良および局所施肥による環境負荷軽減効果
担当機関 福井園試
研究期間 2004~2006
研究担当者 神田美奈子
福島朋行
発行年度 2007
要約 牛ふん堆肥の局所施用により、土壌の気相率が高くなり、ウメの細根量が増加する。同じ箇所に肥料を局所施肥すると施肥量の2割減肥が可能であり、窒素流亡量が減少する。地下水位の高い水田転換畑で掘削による堆肥の局所施用を行なうと、液相率が高くなり、ウメの根は伸長しない。
キーワード 局所施肥、気相率、根量、水田転換畑
背景・ねらい 福井県のウメ園では、有機質資材が地表面に施用され,土壌中にすき込まれることはほとんどない。しかし、表層施用では、根域土壌の改善効果が小さく、発根も促進されないため、肥料の利用率も低い。そこで、土壌物理性改善効果の向上および窒素流亡による環境負荷の軽減を目的に、牛ふん堆肥の局所施用および肥料の局所施肥の効果を検討する。

成果の内容・特徴 1.
福井県のウメの施肥基準は、7月上旬の礼肥および3月上旬の芽出し肥の2回行なう。牛ふん堆肥の局所施用は、礼肥施用時に、主幹から1.5m~2.0m離れたところに直径30cm、深さ50cm程度の穴を毎年、1樹につき4穴掘り、1穴ごとに堆肥10kgを埋め戻す(20本/10a)。礼肥は、前年までに掘削し、根量が増加した土壌に局所施肥する。芽出し肥は全面表層施用する。
2.
牛ふん堆肥を局所施用した土壌では、気相率が増え、根径5mm以下の根量が増加する。局所施用後、1年経過した土壌に比べて2年経過した土壌の気相率は減少するが、慣行栽培(牛ふん堆肥を表層施用)の土壌より気相率は高く保たれる(図1)。
3.
局所施肥2割減肥の樹冠面積当たり発育枝数、および短果枝の花芽数は、慣行栽培に比べて、同程度であり、局所施肥により施肥量を2割減肥できる(図2)。
4.
硝酸態窒素の流亡量は、慣行栽培に比べて、局所施肥の標準量施肥で約2割、2割減肥で約4割減少する(表1)。
5.
排水不良の水田転換畑(地下水位50cm)では、掘削による堆肥の局所施用により、土壌の液相率が増加するので、酸素要求量の高いウメの根は、ほとんど伸長しない(図3)。

成果の活用面・留意点 1.
牛ふん堆肥の局所施用および肥料の局所施肥を開始してから3年目の結果であり、今後、土壌改良効果の継続年数の検討が必要である。
2.
牛ふん堆肥の施用は、「紅サシ」など、ウメの品種によっては、樹脂障害果を助長する恐れがあるので、窒素成分の低い有機質資材を用いるなど考慮する。
3.
水田転換畑で局所施肥を行なう場合には、地下水位を確認して行なう必要がある。

図表1 218606-1.gif
図表2 218606-2.gif
図表3 218606-3.gif
図表4 218606-4.gif
カテゴリ 土づくり 肥料 うめ 障害果 水田 施肥 土壌改良 品種

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