タイトル | ポインセチアの切り花生産 |
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担当機関 | 東京農総研 |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 |
矢沢宏太 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 「バレンタイン,ジェスターレッド」を用いれば、鉢栽培によるポインセチアの切り花生産が可能である。切り花長と日持ちは十分であり、収益性も鉢物生産を上回る。 |
キーワード | ポインセチア,切り花 |
背景・ねらい | 出荷以前は鉢物の場合に準じてポインセチアを栽培し、出荷以降は切り花として扱う新たな生産方式が、生産者により試行されている。新規需要開拓を図り、暖房燃料費の増加等により低下している収益性を向上させるためである。そこで、収量・品質(日持ちを含む)・収益性の調査を行い、これまでに報告事例のないポインセチア切り花生産の実用性を検証する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 供試した「ウィンターローズアーリーレッド(以下ウィンターローズ),バレンタイン,ジェスターレッド」は、いずれも苞が小さく、葉の展開角度が狭い(図1)。これらの特性は、流通過程において苞・葉の損傷軽減を図る上で有用である。同様な特性を持ち、なおかつ現時点において市場価値のある品種は極めて少ない。 2. 苞の着色完了期(=採花可能期)、鉢あたりの採花本数に関しては各品種同程度だが、切り花長に関しては、品種間の差が大きい(表1,図1)。 3. 生産者による実際の栽培・出荷実績に準拠して、収益性を試算した。「バレンタイン,ジェスターレッド」では、出荷経費差し引き後の鉢あたり単価は鉢物の平均(5号鉢:600円)に近かった(表2)。また、単位面積あたり鉢数は、鉢物生産の場合の約4倍(最終スペーシング後)である。従って、少なくとも「バレンタイン,ジェスターレッド」に関しては、単位面積あたりの収益性は鉢物より高いと推定できる。 4. 採花後の処理方法を変えて、日持ちを調査した。処理方法による差は小さいが、品種による差は大きく、「バレンタイン」では約16日、「ウィンターローズ,ジェスターレッド」では約10日である(表3)。 5. 以上より、ポインセチアの切り花生産は、「バレンタイン,ジェスターレッド」を用いれば技術的・経営的に成立すると判断できる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 試験には、全て5号鉢、ピートモスを主体(容積比60%)とする軽量用土を使用した。生産者が慣行的に用いている赤土主体の用土と比較すると、軽量用土は長い切り花長を得る上で有利だが、経費に関しては鉢あたり10円程度上回る。 2. 実際の切り花生産では、鉢物生産に比べて出荷作業に関わる人件費が極端に高い。このため、収益性試算に際してこの点を特に考慮した。より正確を期すためには、栽培期間中の管理作業労力(特にかん水)も評価の必要がある。 3. 鉢上げ時期が早いほど切り花長は長くなるが、前作との関係から7月中旬以降が限界である。このため、栽培期間は鉢物生産の場合と変わらない。 4. 市場における切り花の需要期はクリスマス直前まで存在し、鉢物の需要期より遅い。このため、切り花・鉢物を同時生産しても、出荷労力の分散は可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | くり 経営管理 出荷調整 品種 ポインセチア |