タイトル | ヒートポンプの夜間冷房除湿によるバラの日持ち向上 |
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担当機関 | 静岡農林研 |
研究期間 | 2007~2007 |
研究担当者 |
佐藤展之 寺田吉徳 守谷栄樹(中部電力(株)) 安井清登(三菱重工空調システム(株)) 野々下知泰(ネポン(株)) |
発行年度 | 2007 |
要約 | ヒートポンプによる夏季夜間冷房を行ったバラ温室では、温室内の温湿度が低下し除湿され、夜間のバラの蒸発散量は増加する。夜間冷房を行った温室で栽培したバラは、日持ち日数が長くなり、観賞期間中の灰色かび病の発生が少なくなる。 |
キーワード | バラ、ヒートポンプ、夜間冷房、除湿、蒸発散量、養液栽培 |
背景・ねらい | バラ栽培では、暖房費削減のために重油暖房機と、電気式ヒートポンプを同時に利用するハイブリッド暖房方式の導入が進んでいる。ここでは、ヒートポンプを年間を通して有効利用するために、高温期にヒートポンプを夜間冷房運転することで、温度低下及び除湿が、温室環境及びバラの品質に及ぼす影響について検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 10aのバラ温室に、定格冷房能力44kW(20HP相当)の能力を有するヒートポンプを設置し、夏季に夜間冷房運転することで、温室内の気温は1~3℃低下し、温室内の相対湿度を3~8%程度低下させることができる(図1、表1)。 2. ヒートポンプの夜間冷房により、日中を含めたバラのみかけの蒸発散量は、夜間冷房を行わない場合と比較して増加する。みかけの蒸発散量の増加は、冷房による除湿量と高い相関があった(相関係数 r=0.79 図2)。 3. ヒートポンプによるバラ温室の夜間冷房において、10a当たり300Lの除湿が1晩で可能である(表2)。 4. バラのみかけの蒸発散量、温室内の絶対湿度の変化から推測すると、バラのみかけの蒸発散は、除湿量の40-60%に相当し、残りは温室内空気中からの除湿と、外気の流入分などである(表2)。 5. 夏季に夜間冷房を行うと、切り花の日持ち日数が長くなるとともに、観賞期間中の花弁の灰色かび病の発生が減少する(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. ヒートポンプにより夜間冷房をする場合は、温室の窓やカーテンの開閉などの作業が必要となる。 2. 温室内の温度分布を均一にするため、循環扇の利用が望ましい。 3. 259m2のバラ温室に、定格冷房能力11kW(5HP)の能力のヒートポンプを設置し、8月に夜間7時間程度連続冷房運転した場合の消費電力量は1,160kWh/月・259m2である。電気料金は、電力会社・契約条件により異なるが、10a規模の温室に換算すると、基本料金が約2万円/月・10a、電力料金が約4万円/月・10aと推測される。 4. 温室内が乾燥すると、ハダニの発生が増加するために、適期防除に努める。 5. バラ「ローテローゼ」を用いて行ったデータである。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
カテゴリ | 病害虫 乾燥 ばら ヒートポンプ 防除 養液栽培 |