タイトル | 出荷時シクラメンの光合成能力は葉部TOC全量を測定することで推定できる |
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担当機関 | 三重科技セ |
研究期間 | 2004~2006 |
研究担当者 |
原 正之 西山富紀子 鎌田正行 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 底面給水中の施肥窒素濃度は、開花期までは葉数の増加に影響を与えるが、開花期以降は株の光合成量に大きな影響を与え、施肥窒素濃度が高いほど株の光合成量が高まる。この時、株の光合成能は葉部TOC全量を測定することで評価できる。 |
キーワード | シクラメン、施肥窒素量、TOC量、光合成能力 |
背景・ねらい | シクラメン栽培では底面給水システムの導入が進んでいるが、市場性の高い製品を生産するための液肥の窒素濃度管理については農家の経験や技術に負う面が多く、科学的に未解明な部分が多い。また、シクラメンの品質の低下は株の光合成量と呼吸による消耗のバランスに起因すると考えられ、光合成能の高い株は日持ちが良いと考えられる。 そこで底面給水同時施肥法における時期別の窒素施肥濃度がシクラメンの生育と出荷時の光合成能に与える影響について明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 葉数は、施肥窒素濃度に係わらず開花数が増加する11月中旬までは急速に増加し、12月の前半時点での葉数は窒素濃度と正の相関を示す。しかし、開花期以降の葉数増加数は窒素濃度に係わらず僅かである(図1)。 2. 植物体中の全有機炭素(TOC)量は、開花期までは施肥窒素濃度の影響をあまり受けず葉部と塊茎部にほぼ同量存在する。加温される開花期以降、株全体のTOC量は急増し、全含有量の半量以上が花及び花芽部位に存在する。この開花期以降のTOC量は、施肥窒素濃度に比例して高くなる。(図2)。 3. 出荷時の光合成量(CO2吸収フラックス)は、TOC株全量及び葉部TOC全量とも正の相関関係を示す。相関係数は、葉部TOC全量の方が高く、また葉部TOC全量は1株の中で平均的な展開葉5枚をもって測定ができることから出荷時における株の光合成能としての品質を評価する指標として有効である。(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 葉部TOC全量は、平均的な展開葉5枚を50mlの蒸留水を加えて1分間ホモジネートし、濾過(5B)して得られた溶液でTOC量を測定し次式で算出する。この時、未展開葉は全葉数としてカウントしない。また、展開葉の採取においては、各芽点から1枚づつ採取するようにする。 葉部TOC全量= 5枚葉TOC含量×全葉数÷5 2. 本成果は品種にシュトラウスを用い、各肥料濃度区のTOC量及び光合成量は各区の平均的な株(出荷時では葉数75~80枚、開花数15本程度)における値である。他品種への適応は検討を要する。 3. 本成果は、日持ちの良いシクラメンを出荷時点で評価する手法として活用できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 肥料 シクラメン 出荷調整 施肥 品種 |