タイトル | イオンビームの温室メロン突然変異育種での有効性 |
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担当機関 | 静岡農林研 |
研究期間 | 2002~2006 |
研究担当者 |
前島慎一郎 片井秀幸 種石始弘 山田栄成 大場聖司(静岡農林大) 大須賀隆司 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 「アールス・フェボリット」の種子にイオンビームを照射したM2世代では、種々の突然変異個体が出現する。20Gyおよび40Gy照射において、有用な形質変化も認められることから、本手法は温室メロンの突然変異育種に有効である。 |
キーワード | 温室メロン、イオンビーム、突然変異育種、系統育成 |
背景・ねらい | 本県主要特産野菜の温室メロン「アールス・フェボリット」は、純系の品質を維持するために近縁での交配育種を主体に育成されてきたが、遺伝資源的に限界がある。そこで、イオンビームによる突然変異育種の温室メロンにおける有効性を検討し、新たな特性を付与した系統の育成を試みる。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「県温冬系2号」にイオンビームを照射したM2世代において、葉緑素突然変異が20Gy照射で0.6%、40Gy照射では1.0%認められる。また、葉の形状の変異が40Gy照射で1.3%、雄性不稔、生育遅延、果実肥大停止個体が70Gy照射で、それぞれ0.6%、1.9%、0.6%出現する(表1)。 2. 20Gyおよび40Gy照射したM2世代では、果重、ネット性、糖度などの有用な形質において、元品種の変動幅を超える個体が認められ、各作型に応じた優良個体の選抜が可能である(表2)。 3. M2世代の586系統について自殖・選抜を重ねると、M4・M5世代において、外観が良く夏期高温条件下でも両性花着生に優れる系統(夏系) 、低温・寡日照下でも内容品質に優れる系統(秋系) 、および低温条件下でも肥大性に優れる系統(冬系)を見出すことができ、イオンビームは温室メロンの育種に有効である(表3) 。 |
成果の活用面・留意点 | 1. イオンビームの照射は、AVFサイクロトロン(日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所)で加速した20~70Gyの炭素イオン(12C5+、220MeV、LET:121keV/μm、水中飛程:約1.0mm)を用い、温室メロン種子の外種皮を剥離した状態で照射した結果である。 2. 本データは、半数体育種法により作出した「アールス・フェボリット県温冬系2号」を供試した結果である。 3. M2世代において発芽率が80%以下に低下する系統が、20Gy照射区で26.8%、40Gy照射区で43.7%認められる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 育種 遺伝資源 品種 メロン |