タイトル | 干葉県畑土壌の年間土壌浸透水量を推定した100mメッシュ図 |
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担当機関 | 千葉農総研 |
研究期間 | 2005~2006 |
研究担当者 |
八槇 敦 |
発行年度 | 2007 |
要約 | 土壌別に降水量が浸透水量となる割合を推定し、地理情報システムによって農耕地土壌図、アメダス降水量データなどと組み合わせて、100mメッシュの土壌浸透水量図を作成した。この図では、100m×100mに区分した畑地の年間土壌浸透水量が表示できる。 |
キーワード | 土壌浸透水量、浸透水率、100mメッシュ、地理情報システム、畑土壌 |
背景・ねらい | 一部の井戸水や河川水から、環境基準値を超える硝酸態窒素が検出されている。その一因が畑地における施肥や有機物施用にあると考えられ、作物生産にともなう窒素負荷を評価し、窒素削減対策を策定する必要性に迫られている。そのために不可欠な基礎情報である土壌浸透水量を、100mメッシュ(ほぼ100m×100m)に区分した千葉県全域の畑地について推定して図示する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 農耕地土壌図とランドサットTMデータを組み合わせて、耕作が行われている農地を抽出した。土壌図の水田ポリゴン内にあり、6月に観測されたTMデータで水域と判別されるピクセルを水田とした。また、畑ポリゴン内にあり、2月、6月あるいは11月のいずれかのTMデータで裸地、すなわち耕起されていると判別されるピクセルを畑とした。これらの結果、作物が栽培されている水田は62,300ha、露地畑は39,200ha、樹園地は3,080ha、施設は1,400haである。 2. 降水量が浸透水量となる割合を浸透水率とした。表層腐植質黒ボク土である八街統では浸透水率が65%、作土の液相率が34%、中粗粒褐色低地土の旭統ではそれぞれ70%、19%である(表1)。両土壌統の液相率(土壌モニタリング調査で得られた平均値)と浸透水率の関係式(浸透水率= -0.33×液相率 + 76.4)に、各種畑土壌の液相率を代入して、県土壌統別に浸透水率を求めた(表2)。 3. 畑地の各100mメッシュに、アメダスデータ1kmメッシュ年間降水量の準平年値と、県土壌統別浸透水率の情報を付与して、年間降水量に浸透水率を乗じることから各メッシュの年間土壌浸透水量が算出される。 4. 畑土壌に関する100mメッシュ土壌浸透水量図は、図1のように表示される。県下全域では安房地域は降水量が1,800mm以上で多いため、浸透水量も1,100~1,200mmと多い。九十九里低地と下総台地は降水量が1,300~1,400mmであるが、浸透水量は褐色低地土が分布する九十九里低地では900~1,000mmで多く、黒ボク土が広がる下総台地では800~900mmである。浸透水量は790~1,320mmの範囲にあり、平均値は940mmで、850~900mmのメッシュ数が最も多い。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 浸透水率は、裸地のほ場において、深さ1mまでの土層における水溶性陰イオンの移動と降水量との関係から求めた(平成17年度関東東海北陸農業研究成果情報参照)。 2. 本図は平均的な年間浸透水量を推定したもので、実際の浸透水量は降雨の状況や栽培条件などによって異なる。降雨強度や作物栽培が浸透水率に及ぼす影響に関しては、今後検討を進める必要がある。 3. 本図と地域の窒素負荷量から土壌浸透水中の硝酸態窒素濃度が試算でき、窒素削減対策の策定が可能となる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 栽培条件 水田 施肥 ブロッコリー モニタリング |