タイトル | マルチプレックスRT-PCR法による伝搬方法の異なる3種のキュウリウイルスの同時検出 |
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担当機関 | 群馬農技セ |
研究期間 | 2007~2007 |
研究担当者 |
桑原克也 |
発行年度 | 2007 |
要約 | マルチプレックスRT-PCR法により、キュウリに感染した伝搬方法の異なる3種のウイルス(MYSV、ZYMV、KGMMV)を1回の反応で検出・識別することができる。 |
キーワード | キュウリ、メロン黄化えそウイルス、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス、キュウリ緑斑モザイクウイルス、マルチプレックスRT-PCR |
背景・ねらい | 群馬県内の施設キュウリ栽培圃場において、キュウリ黄化えそウイルス(MYSV)、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV)、キュウリ緑斑モザイクウイルス(KGMMV)によるウイルス病が問題になっている。この3種のウイルス病は伝搬方法が異なるため、防除対策が異なる。症状からこの3種ウイルス病を診断することが難しいため、血清学的手法および遺伝工学的手法により診断を行っている。しかし、従来の検出技術は個々のウイルス毎に検定するため、多大な時間と労力を要している。そこで、ウイルス感染キュウリからこれら3種のウイルスを1回のRT-PCR法で検出でき、ウイルスの識別が可能であるマルチプレックスRT-PCR法を確立する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 各ウイルス検出用プライマーは、DDBJ(DNA Data Bank of Japan)に登録されている各ウイルスのヌクレオキャプシドタンパク質遺伝子配列を基に設計した(表1)。 2. キュウリ葉の磨砕液からRNeasy Plant Mini Kit (QIAGEN社製)を用いて、全RNAを抽出した。RT-PCR反応液として、AccessQuick Master Mix(Promega社製)を12.5μl、10pmolに調整した各プライマーを等量混合して作製したプライマーカクテルを4μl、抽出RNAを2μl、AMV由来逆転写酵素を0.5μl、Nuclease-Free Water (pH 7.0)を6μlを混合した。 3. 本法に適した温度条件は、逆転写反応が45℃を45分と94℃を2分、PCR反応が94℃を40秒、52℃を30秒、72℃を2分としたサイクルを35サイクル、及び72℃を7分である。 4. 各ウイルス検出プライマーを混合して用いたRT-PCR法により、MYSV、ZYMV、KGMMVの単独感染キュウリから、それぞれ900bp、730bp、470bpの増幅断片が増幅される(図1)。 5. 本法により、1回のRT-PCR法で検出されるバンドの位置によって、キュウリに発生する病徴が類似し、伝搬方法の異なる3種のウイルス(MYSV、ZYMV、KGMMV)を識別することができる。 |
成果の活用面・留意点 | 1. キュウリに発生する3種類のウイルスを1回のRT-PCR法で検出・識別することが可能であるので、1検体あたりに要する検定時間および費用は低減される。 2. 本県で発生した単独感染株での検討であったため、現場普及に向けて、異なるウイルス系統や2種類以上の重複感染株からの検出について、今後の検討が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 きゅうり ズッキーニ 防除 |