タイトル | 銀セラミックスを用いた大規模生産施設で利用できる養液の除菌技術 |
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担当機関 | 岐阜農技セ |
研究期間 | 2005~2007 |
研究担当者 |
渡辺秀樹 堀之内勇人 |
発行年度 | 2007 |
キーワード | 銀セラミックス、循環養液、除菌、Pythium、Phytophthora |
背景・ねらい | 鉢物の生産施設では、Ebb & Flow方式などの底面給水栽培の導入により大規模化が進んでいる。このような施設では、養液の循環利用によりPythium属菌やPhytophthora属菌による被害が多発している。大規模生産施設では、大量の循環養液(10-50t前後)を除菌する必要があるが、従来の殺菌装置では処理能力の限界等から普及していない。そこで、大規模生産施設で利用可能な養液の除菌方法を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 銀セラミックスは、無機銀系抗菌剤をセラミックスに担持させて粒状としたものである(図1)。本抗菌剤は燐酸塩系結晶化ガラスを担体とし、銀は強固にイオン結合しているため、熱や酸・アルカリに対して安定しておりほとんど溶出しない。このため、植物体への薬害もなく、養液組成への影響も認められていない。 2. 銀セラミックスをカラムに充填して、バラ根腐病菌(病原菌:Pythium helicoides)の遊走子懸濁液を処理すると、10サイクルで99.9%の除菌率が得られる(培養液 50L、10L/分、1サイクルは処理開始5分後の時点を示す、図表省略)。 3. 循環式Ebb & Flow栽培装置において、養液を銀セラミックスで処理することにより、バラ根腐病に対して高い防除効果が認められる(表1)。 4. 実用規模の除菌装置(株式会社 TYK製、図2)は、時間当たり処理量が200L/分と大量の処理が可能で、培土残さ等の汚れが蓄積しても、自動で逆洗浄が可能である。 5. 本装置は、多くの鉢物に病原性を有するPythium aphanidermatumおよびPhytophthora nicotianaeの遊走子に対し、10サイクルで99%以上の除菌率が得られる(図3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本装置は、既に感染発病した株に対する治療効果はない。このため、Ebb & Flow栽培では、ベンチ内に発病株がある場合、隣接株への伝染を抑制することはできないので発病株は早期に除去する。 2. 本抗菌剤は病原菌と接触することではじめて効果が発現するため、病害抑制効果は接触効率に大きく左右される。このため、セラミックス表面に汚れが付着すると除菌効果が低下する。除菌効果の持続性については、今後実用規模で検討する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 病害虫 大規模化 根腐病 ばら 防除 |